第2話「どうやら異世界に来たらしい!?」

第2話


「ん、んー.......あー目覚めたか。……ってことは本当に転生したってことでいいんだよな?」


そう言いながら立ち上がった俺の目の前には、見渡す限りかなり雄大な自然が広がっていた。少なくとも、ここが元いた世界、日本ではないであろうということは明白であった。


「すごい綺麗だなここ。気持ちいいくらいの青空だし。でも、まぁそんなことは取り敢えず今はいいや。さてこれからどうしようか?」


取り敢えず出るかは知らんけどステータスでもみてみるか?


「ステータスオープン。」

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新門 宇宙 (シンモン ソラ)


攻撃力  3000

防御力  3000

体力   3000

魔力   ♾

知力   計測不能

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使用可能属性 なし

特殊魔法 熱


称号  人類の叡智 無限の魔力 転生者              

    神の加護を受けしもの

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「はぇーすげぇな。ステータスとか本当にでたわ!マジでここは異世界なんだな。」


俺はステータスを見て改めて、異世界に来たということを自覚した。というか思ったよりもファンタジーだった。


「しかしなんだ?使用可能属性がないってかなりヤバいんじゃないか。しかも使える特殊魔法が熱ってなんだよ。というかどの程度使えるんだろうか。もし仮に物体の温度を少し上げ下げできる程度だったら俺なんて即死だぞ。それにこの世界のステータスの基準値こそ分からないが、めっちゃ高くは見えないから魔物とかに会ったら普通に死にそうで怖いな。まぁ魔力無限とかなのは凄いし嬉しいけど……何にも魔法も使えないですけどー。」


まだ確定ではないが、転生者全員がぶっ壊れ能力やステータスプレゼントなんてことはないんだな。だって魔力無限にあっても使えなきゃ意味ねぇし、頭良くても力とかなかったらどっちみち死ぬやん。

まぁ今はつべこべ言ってないで取り敢えず街やら村やらを見つけて、移動するのが今の最適だな。


「移動するっていってもなぁ?取り敢えず適当に歩いて道でも探すか。」


そう言って一区切りつけると俺は移動を始めた。どうやら俺が転生してきたのは山だか森の中にある大樹の下だった。そこから俺は軽く周りを警戒しつつ、それでもあちこち見物しながらぷらぷらと歩いていく。


「いやぁそれにしてもここしばらく自然に触れていなかったから随分と心地よく感じるなぁ……でもそこまでぷらぷらしている余裕はないな。夜になるまでには街だか村には着いていたいし。少し急ぐかな。」


そう決めると俺は進むスピードを上げた。そしてそこからしばらく歩いていくと、木が密集しているところから抜けて何やら道のようなものを見つけることができた。

その道には、馬車の車輪のような跡が付いていた。どうやらこの新しい世界にも人がちゃんといて、生活をしているんだろうなと思って少し安心した。


「よっしゃ取り敢えず道が見つかったな。もしかしたら近くに街か村があるかもしれないし急いでたどっていこう。……というか俺ってかなり運がいいんじゃないか?」


俺は道をすぐに見つけられて豪運なのでは?と興奮したが、転生という事象を自身で直接体験したことを思い出し、その興奮は一瞬でなくなった。

そこから俺は結構な距離を歩いた。しかし、残念ながらその日中に街や村に着くことはできなかった。

俺は仕方ない明日また探そうと諦めて、力なく道の端に寄ってしゃがみ込んだ。

俺はそのまま寝ようとしていると、しばらくしてから馬の足音のようなものが聞こえてきた。そこで俺はハッとしたように顔を上げた。


「おいおい、馬車来たよ。人いたよ。」


突然の発見に俺は興奮した。そして馬車に向かって手を振ると馬車は俺の前で止まってくれた。そこで俺は馬車の御者に話しかけることにした。


「あのーすみません。」


「んん……おぉどうしたのですか。これまたこんなところで?」


「すみません、もしかしてこの後街に向かったりしませんか?それなら、よろしければですが貴方の馬車に私も乗せて行ってくれないでしょうか?」


と御者の商人らしき、おじさんに聞いた。


「ふーむ、そうですねぇ。……流石にこんなところに人を置き去りにするのは私もあまりいい気にはなりませんね。いいでしょう、さぁ乗って下さい。私もこの後街まで商売に行くところですので。」


俺に御者のおじさんは乗っていいと言ってくれた。それもお金は払わなくていいらしい、そのかわり私の話し相手になってくれと言われた。なので俺はありがとうございます、と言ってありがたく馬車に乗せてもらった。


それから街に着くまでおじさんと色々なことを話した。俺はおじさんに、ここはなんて国なのか、どこに行くのか、どのような人々がいるのかなどを聞いた。いわゆる質問責めをしたのだ。しかしおじさんは一つ一つに丁寧にしっかりと答えてくれた。

この人はどんだけ優しいんだろうか。聖人なのだろうか?と思うほどだった。


さて、少し情報をまとめよう。

おじさんの話によると、どうやらここはハルバート王国というらしく、これから俺たちはハルバート王国の南端にあるスターリングウォードという街に行くそうだ。

また、そのスターリングウォードという街は魔物が数多く生息する通称魔の森と、隣国であるヴィルヘルム帝国との国境であり、国内でも有数の軍事都市らしい。なんでもスターリングウォードには騎士団や傭兵だけでなく冒険者たちも多く生活していて、それに伴って商業も発達してかなりの大都市となっているとのこと。

ちなみにどのような人々がこの世界にいるかというと、メジャーな人間やエルフ、ドワーフをはじめ、いわゆる妖精やゴースト等もいるらしい。


その後も少し話していると、次第に立派な城壁のようなものが見えてきた。それはまるで歴史書の中の軍事都市さながらで、俺がさっきまでいた自然など嘘のようだった。だがまぁ流石軍事都市というだけのことはある。


ずっと商人のおじさんといたが、門をくぐるときに商人のおじさんは商人用の入り口を通っていくといったのでここで別れることとなった。


「ありがとうございました。いつか絶対恩は返しします。」


「いえいえ、こちらとしても会話ができて暇が潰れました。それと恩返ししていただけるのなら商業の方で……」


俺が別れ際にそう言うと商人のおじさんはニヤッとして返した。はは、やっぱり商人だな。


***


商人のおじさんと別れた後、旅人たちが並んでいた列の最後尾に並びしばらくして中に入れた。

市内に入るとき通行証を持っていない人は大銅貨一枚と言われて焦ったが、何やら着ていた服のポケットの中に金貨が15枚ほど入った袋があったので、難なく入ることができた。

そのときに分かったことだが、金貨一枚出して門番の人が驚いていたので金貨はかなり高価であるということが分かった。

まぁ銅、銀、金貨が日本円換算でいくらぐらいかはここでの物価が分からないのでまだ分からないけど。


「さぁ取り敢えず市内には入れたし、宿とって冒険者協会とやらにでも行こうかな。」


こっから本当に異世界生活本格的にスタートだな。

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