天才が誰もが使えない"熱魔法"を使ってみた件

@A-1407

スターリングウォード編(第一部)

第1話「転生という事象とは」

第1話


「お疲れ様でした〜」と俺こと新門 宇宙は自分の勤めているIT会社を後にした。

ここ最近、かなり働き詰めだったと思う。いくらしっかり給料が払われるからと言っていくらでも働けるということではない。俺も人間なのだ。人並みに休みは必要だし、娯楽も必要だ。



帰り道の途中、会社の最寄駅にて電車を待っている時、スマホを開いてここ最近気に入っている電子小説をひらく。


「こんなに都合よく転生なんて……てか神ってなんやねん」


と文句を言っているが普通に俺は楽しんでいる。多くの男子諸君は一度は考えたことがあるだろうが、時々俺も死んだら転生できるのかなだとか、ワンチャンあんじゃね?とか思う時もあった。

しかしそんなことを思うこともあったのだが、俺はその妄想にすがっているだけで、絶対にそんなことが起こりえないということを知っている。

俺は一応親のおかげもあって私立中高といった後、難関国立大にすすんでいる。で、問題の専攻が物理である。そして化学も一応一時期研究していたのだ。

そこで俺は学んでしまった。宇宙論、量子論だとかで次元だの宇宙だのを。だからこんなにも落ち込んでいるというのか卑屈になってしまっているのである。


ははっ、まさか転生なんてな。事象があるならしりたいわ。


***


「はぁ〜今日の夜飯は何にしようかなぁ、牛丼で済ますかな。早く寝たいし。」と一人でぼやきながら自宅の最寄駅の近くの牛丼屋に向かう。


牛丼屋について、いつも食べている大根おろし牛丼を頼む。これがまた最高なのだ。疲れた体を元気付けてくれる。

その後、牛丼を食べて少しゆっくりしたところでコンビニに缶チューハイとつまみを買いに行くことを決め、会計を済まし店を出た。


牛丼を食べ、幸せな気分でコンビニに向かっている時、途中の交差点でJKかと思われる生物が歩きイヤホン、スマホをしながら渡っているのが見えた。諸君勘違いするなよ何もただ、JKがいたから見ていたわけではない。悪いがこちとら働き詰めで食欲を満たした今、せー欲なんかよりも全然睡眠欲の方が勝っている。……うん。


話を戻すが、JKが赤信号で横断歩道を渡っている今まさに、そこにトラックがJKに迫っていたのだ。

もちろんどこぞの主人公みたいに体が自然と動くなんてことはないが、その時は人が死んでしまうかもしれないというような事象を目の当たりにしているからか自分の死なんか恐れず俺は走った。


「おい、そこのJK!赤だぞ!赤!って聞こえねぇか。おい!死ぬぞ!!」


何でそんなダラダラ歩いてんだよ!俺はイライラとしながらさらに足をすすめる。


「あぁークソっ!おら!」


JKを突き飛ばした。急なことに件のJKは驚いていたがそんなことはどうでもいい。俺も早く行かなきゃ。ってあれ?足がうごかねぇ、どうやら自分の飛び込んで行った反動で上手くすぐには立ち上がれないらしい。


「やっべぇ、死ぬのか俺。何かJK叫んでるけど、まぁせっかく助けたんだからちゃんと生きてくれや。」


トラックはかなりのスピードで進んでいるのでブレーキをかけても多分間に合わないだろう。てか目の前まできてるし、あぁ死ぬのか。


「…………転生できるかな」そう呟いた後すぐにバン!!!!!という音が鳴り響いた。それと同時に新門 宇宙は死んだのだ。


***


『おーい、きみぃ生きてる?まぁここに連れてきたから死んでるはずはないんだけどさぁ。ん?いや死んではいるのか。おーい……おーい。』


なんか声が聞こえてきた。あれ、俺死んだんじゃないっけか?


「ん、んー........あ、あれ俺死んだよな?」


と、お決まり?なセリフをはいた。そして、目を開けて横を見るとなにやら白装束のジイさんがいた。それはまさに、どこぞの神官かあるいは仙人かのようだった。


「あ、あれ?貴方は?……あ、あのですね、こんなこと言うのはなんですが私はつい先ほど死んだところなんです一応。記憶によるとですが。」


それになんなんだここは真っ白で端が見えないぞ。


『まぁまぁ落ち着きなさいな。まずワシはな、君たちの言うところのいわゆる神じゃ。そんでここは天界やら神界やら言われとる場所じゃ。あぁ〜それと確かに君の言う通り君は死んだね、だからこれから君には選択をしてもらうんじゃ。』


ん?は?待てや、早いわ展開が。俺は確かに死んだよな。ならなんで俺生きてんねん!てか、天界ってなんだ?神ってなんだ?


というふうに、数多くの疑問が目まぐるしく脳内を駆け巡っている。


『あのなぁ君が混乱するのはわかる、でもまぁ取り敢えず落ち着いてくれんかのぉ。君がそんなんじゃ説明もできんのじゃよ。』


ま、まぁそうだな、こんなった以上一旦落ち着いて話を聞くのが正解だろう。……いや、でも、まぁいい。


「すみません、取り乱しました。貴方は私が死んだことを知っているようですけど、ではなぜ私は今生きているんですか。普通に考えたら明らかにおかしな話なんですけど?」


『そうだねぇ、たしか君は確か物理だとか量子だとか宇宙について学んでいたから、自分の研究との相違や理解できない現象に普通の人以上に混乱すると思うけど考えてみてほしい。それと物理の原点に立ち止まって、時には現実では実証できないようなこともあることを飲み込んでほしい。』


「わ、分かりました。」


『そうじゃのぉ、どういえばいいかのぉ?…………あぁそうじゃ!例えばじゃが、君たちは着々と技術進歩を重ねて、今ではアニメやゲームなどの二次元世界つまり、君のいる三次元世界よりも低次元の世界における、キャラクターつまり人々を作り出したり設定したり、操作したりしているじゃろう。』


「ええ、」


『そしてそれには君達の作り出した人々の心や人格、更には世界線までも設定されている。だが当然、そこにいる二次元の人々は君たちつまり、自分たちを生み出している存在なんかは知りもしないし、君たちの決めた物語的な設定などの絶対的な筋書きによって科学的には証明できないような事象とかも起こっている。

つまりそれと同じように君たちも何かからは知らないものの、作られたものには変わりはない可能性だってあるはずなんじゃよ。つまりのぉ、科学的には絶対に証明できないような事象、力も存在していることだってあるってことじゃ。それも知能とかの問題ではなく絶対的に、の。……分かってくれるかの?』


「ふーむ、」


なるほどまさに高次元的な話ではあるが、確かに筋は通っている。まぁ今そんな事象を目の当たりにしている俺はそれを信じるほかないんだが。


「分かりました。ある程度は、納得も理解もしました。」


俺が納得したことを伝えると、神とやらはにっこりと微笑んだ。


『ほぉほぉ、それはよかった。流石はエリートじゃな。さて、そこで君には選択肢を与えたい。一つ目は、こことは異なる世界にて新たな生命を受け新たな人生を始める。二つ目はこのまま死ぬ、じゃ。

ワシとしてはできれば前者を取って欲しい。理由はといえばの、別にお主がこのまま死んでどうにかなるという話ではないのだが単純にワシの目覚めが悪くなる。一度、魂を拾った者がまた死ぬのを見届けるというのはワシにとってもいい気分のするものではないのじゃよ。

まぁどちらを選ぶかというのは、君の自由じゃがの。さぁ君はどちらを選ぶ?』


いやいや、そんなの前者を選ぶに決まってるじゃん。誰が好き好んで死ぬと言うのか。嫌なのは神だけじゃないぞ。


「もちろん、それなら転生を選びます。というかお願いします。」


『ほぉほぉ、やはり転生を選んでくれたの。もちろん頼んでくれなくても、転生させるぞ。魂を拾ったのは誰でもないこのワシなのだから。それじゃ今から早速転生されるぞ。行ってくるのじゃ。君の好きなように楽しむがよいぞ。』


早いんだよな本当に。どんな世界かくらい説明してくれや。と、早くも薄れゆく意識の中でいう。すると神が心を読んでか説明的なことを言ってきた。流石は神だな。


『君が転生するのは、君らの世界じゃ定番な話の魔術魔法のある世界じゃよ。それとまぁワシと会ったのも何かの縁じゃ。ワシの加護を与えておくとする。それじゃぁの。また会うかもしれんし会わないかもしれんがまぁ楽しむとよいぞ。』


そう神が言った直後、俺の意識は途絶えた。





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