第3話「異世界で生きていく」

第3話


門をくぐってから、取り敢えずしばらく泊まるための宿を探すべく露店などが多く出ていて人気の多い大通りのような道を歩く。


「それにしても、本当にこの街は活気があるなぁ。軍事都市って言ってたけど物騒なんてことは全くないな。さてと宿はどこにあるんだろう。露店のおっちゃんにでも聞くかな。」


そう言って俺はすぐ近くに見えた露店で串焼きを売っている、おっちゃんに宿の場所を聞くために串焼きを買いに行く。


「すみませーん。その串焼きを1本下さい。」


「あいよ!串焼き一本銅貨二枚だよ!それにしても兄ちゃん見ない顔だね!ここ最近この街に来たのかい?」


「は、はい。実は今日それもついさっき来たばかりで。あ、そうだ串焼きを買うついでにいい宿を教えてくれませんか?まだ泊まる宿決まってなくて……」


「おう、そうだったのか。それならここを少し進んだところに"銀の帽子亭"っていういい宿があるぜ。そこまでうるさくねぇし、看板娘もベッピンさんだ。」


「へぇ、ありがとうございます。早速行ってみようと思います。」


「おう、それと歓迎の意を込めて1本サービスしとくぜ。ようこそ、スターリングウォードへ。」


そして、串焼き屋のおっちゃんにありがとうとお礼を言ってから早速、銀の帽子亭へと向かうことにした。それにしても、上手いなこの串焼き。なんの肉なんだろうか。魔物の肉だったりして……はは、まさかな。


***


串焼きを食べながら少し道を進んで行くと、木の看板に帽子が描かれた宿チックな建物を見つけた。


「すみませーん、開いてますか。泊まりたいのですが。」


「はーい、今行きまーす。」


と銀の帽子亭入ると、愛想が良さそうで可愛らしい雰囲気をまとった猫耳娘が出迎えてくれた。


「こんにちわーご宿泊ですね。何泊にします?ちなみに値段ですが1泊2日夕食、朝食付きで大銅貨1枚です。」


ほぉさっきの串焼きと今回の宿費を考えると、大体大銅貨=1000円で、銅貨=100円といったところか。取り敢えずしばらくはここを拠点にするつもりだから、1ヶ月分くらい取るか。取れるか知らんけど。


「えーっとそれじゃあ、30日とかって一気に取れたりしますか?」


「はーい、大丈夫ですよ。それでは30日分でちょうど銀貨三枚です。」


「はい、分かりました。それじゃ銀貨4枚で。1枚はチップです。これからよろしくお願いします。」


ここはいい関係を築くべくチップを渡すのが手っ取り早いだろう。


「はーい……えっと、ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。」


何か戸惑っているように見えたがまぁいいだろう。ちなみに銀貨って考えてみると1万円くらいなのか。それなら渡しすぎたのかもしれないな。


その後、看板娘の子に部屋まで案内してもらった。どうやら泊まる部屋は運良く角部屋で大通りに面しているらしい。窓もついているし、家具もちゃんと揃っていて過ごしやすそうだった。


「んぁー疲れたな。なんだかんだでもう今昼だしなぁ。昨日の夜というか昼間あたりからずっと起きていたからもう丸一日寝てないってことになるのか。そりゃ疲れるわけだわな。取り敢えず今日はもう寝た方がよさそうだな。そうだ夕食断っとかないといけないな。何だか初日から申し訳ないな。」


と宿のロビーへと向かう。


「すみませーん。」


「あ、はーい。さっきのお客さん。どうなさいました?何か部屋にご不満な点でも……」


「いやいや、全くそうなことはないですよ。ただ、昨日の昼頃からずっと旅で寝てなかったもので、疲れたので早く寝ようと思うんです。だから初日から申し訳ないですが夕食を断っておかないとと思いまして。」


「そうですか、それなら何かおにぎりでも軽いお夜食をお渡しします。少し待ってて下さい。」


と言ってトタパタの走って厨房の方へと向かっていった。これだけ愛想がいいとさぞ人気なんだろうな。

それからしばらくして、看板娘の子が作ってくれたおにぎり2つを受け取り自分の部屋へと戻った。その後はというと、おにぎりを食べて寝た。


***


「んっんぁー。」


こっちの世界に来て初めての朝を迎えた。さて今何時頃だろうか?しかしこの世界には時計は無いのだろうか。

もしかしたら時計塔でもあるかもしれないなとか考えつつ、窓を開けた。そして眩しさに抗いつつ太陽を見るともう真上に来かかってたのでもう昼近いだろうなということが分かった。

部屋を出てロビーへと向かうと看板娘の子が、おはようございます。と声をかけてきた。


「おはようございます。もう昼近いですよね?」


「そうですね。でも旅で疲れていたそうなので仕方ないと思いますよ。本当お疲れ様です。さぁ好きな席に掛けてください。ちゃんと朝ごはん残しておきましたので。」


看板娘の子はそう言うとパンとスープ、サラダを持ってきてくれた。うん美味いな。それに健康的でなんだか体に染み渡るな。

それから、朝食はあっという間に食べ終えた。朝食を下げた後は、街の見物をしつつ冒険者協会とやらに向かうつもりだ。


「すみません。そう言えば冒険者協会というのは、どこにあるんですか?」


「はい。冒険者協会はここをでて、南門の方へと進むと木の看板に剣が交差している絵が描かれた大きい建物があります。ところで冒険者になるんですか?」


「うーん、今のところはそのつもりです。それと今はとにかく情報と職が欲しいので。それと生き残るために鍛錬もしたいし。」


「そうですか。それではくれぐれも注意してくださいね。冒険者になっても死んだりなんてしないで下さいよ。」


と言われた。なのでなんの保証もないが、取り敢えず当然死ぬつもりなんてありませんよ間違っても。と返答して銀の帽子亭をでた。

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