第18話

 失礼かどうかは相手との距離感次第。

 主観は他人にはわからない。

 見かけ上は怒っていても、それは本心ではないかもしれない。

 不快かどうかは本人にしかわからない。

 反応は間柄によって大きく変わるだろう。


「まあな。そんなことだろうとは思ったよ」

 一通りのあらましをユキオに話したところ、軽く笑って済まされた。

「記憶ないやつと、自分の村でしか生きたことないやつだけじゃあ難しいだろうな」

「それにしたって、笑うことないじゃないですか」

 ラキは頬を膨らませてユキオを睨んだ。

「いや、これは別に馬鹿にしてるんじゃないよ。少し昔を思い出してな」

 ユキオはそうして、窓の外を眺めた。

 キラは視線を追ったが、首を傾げていた。

 その先には、道があって、人が歩いているだけだったからだ。

「昔?」

 キラの口からふと言葉が漏れた。

「ああ。俺だって人の手を借りないで、生きられるようになったのは、最近だからさ。そんなこともあったなってな」

 そうしてユキオは再び笑った。だが、今度のラキは怒ったような様子を見せなかった。

「そうでしたか……」

 むしろ、少し寂しそうな、申し訳なさそうな表情を浮かべると、顔を俯け、所在なげにしていた。

「何かあったのか?」

「キラ。失礼ですよ」

 突然の鋭い指摘にキラは目を見開くと、ラキの真似をして、居心地悪そうにした。

「いや、いいんだよ。それより君はキラって言うのか。いい名だね。何も知らないなら仕方ない。だが、俺はいいが、他のやつらはそうとは限らない。ここで少し話をしておこうか」

 ユキオ口を開いた。

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