第13話

 人はどこまで見た目で判断できるか。

 判断できたとして正しいかどうか確認できるか。

 判断できないとしても決めつけているのではないか。

 自分の判断は無意識で決まってるのではないか。


 家の中に入ってからも二人の反応は衰えることはなかった。

 むしろ、より一層強まったと言えた。

「明るい」

 彼女の村では灯りと言えば、蝋燭か松明が主だった。

 それに対し、男性の家の明かりは、比べ物にならないほどの明るさだった。まるで昼と見間違えるほどの光量に思わず目は細められた。

「近所でも普及してないところもあるんだな」

「そうですね。技術をほとんど取り入れていない場所なので」

「なるほどなぁ。あると便利なんだけどなぁ」

 ふと首を傾げた男性だったが、価値観は色々だからなと漏らしながら頷くと、一人で納得したようにそうだなと言った。

 日が落ちてからというもの、眠い目を擦るばかりだった彼も男性の家を見てからは目が覚めたようにキリキリと動いていた。

「今目が覚めるとこれからが大変だぞ」

 男性の言葉にビクッと身構えた彼だったが、和やかな雰囲気に頬が緩んだ。

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