第14話
空腹は避けられない。
エネルギーを摂取しなければ力が出ない。
当たり前のことだが、疎かにしている部分でもある。
とりあえず満たされればいいという油断も生まれる。
窓からは日が差し込み、小鳥たちのさえずりが聞こえ始めた。
彼は体を起こすと伸びをして、大きくあくびをした。
夜は明けた。
「おう。起きたか。ちょっと待ってな。もうすぐできるぞ」
彼は声の方を見た。
その先では、男性が台所で料理をしていた。
流れてくる空気によって食欲がそそられた。
「おはようございます。いい匂いですね」
「おう。おはよう。ははは。なんだか人がいるってのはいいねぇ」
男性は嬉しそうに微笑んだ。
「そうですか?」
「そうだとも、いつも一人だったからな。なんだかあったかいよ」
「まだ、涼しいと思うが」
彼の言葉に一瞬場は静かになった。男性も真顔になったがすぐに破顔した。
「はは。気温はな。でもこれは心の話だよ」
「ココロ?」
初めて聞いた言葉を繰り返すように言うと、彼は首を傾げた。
そして、目を地面へ移すと黙り込んだ。
「なにも難しいことじゃないさ。ただ、説明するのは難しいんだがな」
「そうですね。なんと言っても説明不足な感じですね」
「どういうことだ?」
「まあ、いずれわかるさ」
男性はそこで言葉を切ると、出来上がった料理を食卓へ運んだ。
昨夜は寝ただけで何もしなかった彼らだ。食事は村でとって以来だった。
料理が目の前に並べられると、彼のお腹が鳴った。
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