第1章
夫の浮気疑惑
私は
と、ちょうどその時。
「ただいま」
「おかえりなさ~い♡」
と言いながら裕美は夫の
「ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ・た・し♡?」
「えと……じゃあ、ご飯にする」
「えぇ~私じゃないの!?」
「お腹が空いたんだよ~」
「もう、あなたったら~」
裕美は夫のスーツを脱ぐのを手伝う。その時、さりげなく浮気をしていないかチェックするのだ。ポケットの中に一枚の名刺が入っていた。
「何これ……女の名前が書いてある名刺……」
「あぁ、取引先の人だよ」
「あぁ、何だ取引先の人のかぁ、びっくりした。どう? 取引は成立した?」
「うん、大成功だよ。商品たくさん買ってもらえた。すごく人気だから、追加注文もどんどんしてくれるんだ」
「良かったわねぇ~。智也が頑張っているからよ! 社長の座も夢じゃないわね!」
「それは大袈裟だよ」
「そうかしら。でも、いつかその座について私をも~~~っと幸せにしてね?」
「今でもその努力に努めているよ」
「智也……」
「裕美……」
2人は抱き合う。だが……
良い雰囲気の中、そいつは鳴いた。
グゥ~~~~~~~~~~。
智也のお腹の音だ。
「あっじゃあ、ご飯食べたいな」
「ちぇっ、はいはいわかりました……」
(もう少し構って欲しかった……)
2人はテーブルについた。
テーブルには出来立てのご飯やおかずが並べてあった。
「さぁ、召し上がれ♡」
「いただきます」
「あ、待って」
裕美はおかずをつまんで
「はい、あ~ん♡」
「えぇ! 恥ずかしいよ」
「いいじゃない。私を選ばなかった、ば・つ♡」
「えぇ、じゃあ、……あっあーん」
「どう? おいしい?」
「おいしいよ」
「私も味わってみる?」
「えぇ?」
「……鈍感智也」
「……?? とにかく、ご飯が冷めないうちに食べたいな」
「そうね、熱々のうちに食べて食べて」
2人は仲良く食事をした。
「「ご馳走様」」
「うふふ、綺麗に食べてくれて嬉しいわ。作り甲斐があるもの」
「美味しかったよ、裕美の手料理は最高だよ」
「キャ~~~~~~、あなたったら~~~~~~!!!!!」
裕美は智也をバシバシ叩く。大変痛い照れ隠しである。
「痛い! 裕美! 痛いって!!」
「はっ! いけない。ごめんなさい、あなた」
「うぅ……ひどいよ……痛い」
「じゃあ、おまじないをかけてあげる♡
痛いの、痛いの、とんでけ~♡
どっか、とんでけ~♡」
「治った」
「私のおまじないが効いたのね!」
「いや、ただ叩かれただけだし自然治……」
「効いたの! 私のおかげなの!」
「……う、うん。そうだね、ありがとう」
「えへへ~どういたしまして~」
~♫ オフロガワキマシタ ♫~
「じゃあ、お風呂に入ろうかな」
「ちょうどお風呂沸いたみたいね。ゆっくり疲れを取ってくださいな。
タオルや着替えはもう置いてあるから」
「わかった。ゆっくり浸からせてもらうよ」
智也は風呂場へ行った。
「……あの人からも同じ匂い。名刺と同じ。スーツに染みついている香水のような匂いが……。でも、浮気しているわけ、ないわよね。そうよ、取引先の女の人の匂いが強かったのよ。きっと。私はあの人を信じているわ。愛してくれているのはこの私であると」
……!!
「こっこれ……」
そう、先程は見つけられなかったが裕美は見つけてしまった。Yシャツの襟の部分に微かについている口紅のような赤いのものを……
「く、口紅!? う……うそよ……。あの人が私以外の女に……」
裕美はその場で両膝をついた。
「ふ~良い風呂だった」
「智也! どういう事なの!?」
「えっ何が??」
「これよ!!」
裕美は智也の前にYシャツを突き出す。
「誰につけられたの!」
「う~ん、怪我した時かな」
「怪我!? じゃあ、これはあなたの血!?
ごめんなさい! また、あなたを疑って……
怪我は……大丈夫?」
「大丈夫だよ。かすり傷だし。じゃあ、裕美。明日も早いからもう寝るとするよ。お休み」
「良かった。お休みなさい。あなた」
智也は寝室へ行った。
「でも、やっぱり気になるわ。明日、ついていってみようかしら。大丈夫よ、智也。あなたに纏わりつく害虫なんかいたら……私が追い払うからね」
裕美の目に狂気が宿り始めた。
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