第2話 相変わらずです
〔和くんにも宜しく。〕
みんな、私の隣には和がいて当たり前だと思っているんだね。
私もそう思ってる。
そこに和がいるのが当たり前。
〔だけど、いないんです。
もう、1年になります。
和が消えて1年になります。
和が突然私の前から消えて、帰って来ないのです。〕
17年この家で一緒に暮らし、誰よりも大切な存在だった。
今でも和がいるように暮らしていこうと思っていたのに、やっぱり虚しく感じて少しずつ和の荷物は整理してしまった。
残っているのは和のお茶碗1つだけ。キッチンの隅に布巾に包んで置いてある。
わかっている。
和はもう永遠に戻らないと。
だけど、なぜだが人には言えない。
誰にも知らせず、平気な顔で「相変わらずです」と私は答える。
いいよね。本当の事なんてさ、、どうでもいい気がするよ。世の中の幸も不幸も全て誰かのものだ。
一度書いたメールを
〔トトトトトト……… 〕と消した。
このまま私は誰にも言わないだろう。
ふと、、今頭の中を和の横顔が過ぎった。
ベランダから空を見上げる髭のある横顔。
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