第78話琴葉のことを好きな男子生徒
な、なんか怒ってる…!?ま、まずい…琴葉を不機嫌にしたら帰ってから絶対に何か面倒なことになるのが目に見えている。
どうにかして琴葉の機嫌をよくしないといけないけど…なんで怒ってるかわからないからどう機嫌を良くすればいいかもわからない…ジレンマだ。
「あー、えーっと…琴葉…?」
「…何?」
「い、いや、なんでもない…」
こ、これは…理由はわからないけど帰ったら確実に怒られると言うことはもうわかったな…はぁ。
女子生徒たちはまだ言い合いをしている…
『バンッ』
「…え?」
勢いよく教室のドアを開く音と共に、男子生徒が1人入ってきた。
そしてその男子生徒は琴葉の方に一直線に向かって行く。
「琴葉さん!」
「……」
琴葉は明らかに嫌そうな顔をしてるけどこの男子生徒は気づいてないのか…?
「お、俺と付き合ってください!お願いします!」
「私にはお兄ちゃんがいるから無理って何度言えばわかってくれるの?」
「いっ…!?」
本当にそんな言い方でフってるのか…一体その言霊で何人の男子生徒を斬ったんだ?その数だけ俺を恨む人がいるってことだ…
それにしても琴葉の言い方だともう何回も断ってるみたいだけどこの男子生徒はよくこんな言い方でフラれても何回も告白なんてできるな…
「そ、それは、わかってます…そ、それでも、どんなお兄さんかは知らないっすけどお兄さんより琴葉さんのことを幸せにする自信があります!」
おぉ…が、頑張れ!そこまで行くとプロポーズのような気もするけど…
そのままなんとか押し切ってくれれば琴葉もようやく恋人ができる…!
「この世にお兄ちゃん以上に私を幸せにできる人なんていないし、お兄ちゃんならそこにいるよ?」
「そうなんすか!?」
そう言って琴葉が指さした方向…つまり俺の方をその男子生徒が見て近づいてくる。これは、殴られるのか…!?
「琴葉さんのお兄さん…!尊敬してます!」
…あ、あれ…?
「この学校の男子生徒の中では琴葉さんと唯一釣り合う男性として神格化されてるっす!」
…嘘だろ!?神格化!?
「でも…お願いします!琴葉さんを俺にください!」
男子生徒がそういうと、さっきまで言い合っていた女子生徒たちもピタリと止まり、この教室にいる全生徒が俺の方を見る。
それはもちろん琴葉も例外ではない。
「え、えーっと…」
お、俺としては「ああ、琴葉をよろしく頼む」って言いたいけど琴葉がこの人のことを好きじゃないならそれはそれで琴葉の倫理に反する…
あー!なんでこんな選択を俺がしないといけないんだ!
俺はチラッと琴葉の方を見─────
「……!」
「…!?」
琴葉が「断ってねお兄ちゃん」と目で訴えかけてきている。
「そ、そうだな…その…」
ど、どう答えればいいんだ…?
告白するぐらいだから相当覚悟を持ってるんだろうし…
「こ、琴葉が断ってるってことは、何かしら付き合えない理由があるって事だと思うから付き合えないんじゃないか…?」
ど、どうだ…?俺にしてはかなり上手く丸め込めたはず…
誰も傷つけな言い方で、かつ琴葉の意思も尊重している。
「そうっすけど、その付き合えない理由がお兄さんがいるから、なんすよね?」
「そ、そうらしいな…」
「見た感じお兄さんは琴葉さんと恋人になりたいって感じでもないんで…お兄さんから琴葉さんに恋人にはならないって言ってもらえないっすか?」
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