第77話女子しかいない教室
「お兄ちゃん!ここが教室だよっ」
「そ、そうか…」
教室までも長かったなぁ…伊達に広いわけじゃないってことがよく分かった。
「じゃあ、私先入るねー」
そう言って琴葉のクラスメイトという人は教室の中に入っていった。
教室前の廊下でも、教室の中にいる生徒たちの声が聞こえてくる。
「でねー、私の彼氏が浮気してたんだってー、ありえなくない?」
「浮気とか最低っ!」
「……」
なんていうか…会話内容が悲惨だな。
「…ちょっと待っててね、お兄ちゃん」
そう明るく言うと、琴葉は教室の中に入った…と思ったら、笑顔のまますぐに戻ってきた。
「ど、どうかしたのか…?」
「ううん、なんでもないよ、ほら、早く入ろ?」
「え…お、俺は後で先生が来てから─────」
「だーめ!」
そう言って琴葉は俺のことを無理やり教室の中に連れ込んだ。
教室の中に入ると、そこは異様な光景になっていた。
「わぁ!この人が琴葉ちゃんのお兄さん!?噂通りかっこいい〜」
「本当だ〜!」
その噂がどんな噂なのか気になるが、異様な光景というのは教室中の女子が琴葉と俺の方に近寄ってくること────ではなく、教室の中に`女子しかいない`ことに…
「な、なんでこんなに女子しかいないんだ…?」
校門には普通に男子生徒とかがいたはず…
「あれ〜?知らないんですか〜?」
「えっ…?」
「この学校ってー男女で校舎が違うんですよー」
そんな学校があるのか…まぁ琴葉にフラれた男子に直接睨まれたりしないのはいいことだとして女子しかいないっていうのもだいぶ嫌というか場違いというかだな…
「なんかー男女が一緒の教室だと相殺効果が────」
「ちょっと!私がお兄さんに説明してたのに!」
「はぁ?そんなの知らないし!」
女子生徒2人は言い争いをし始めた。な、何がどうなってるんだ…?
「琴葉ちゃんのお兄ちゃんかっこいいねー!琴葉ちゃんぐらい可愛い子が言ってるからって期待してたけどやっぱりずっとかっこいいって言ってただけあってかっこいいよ!」
「美男美女兄弟だね!」
「私なんて全然お兄ちゃんに釣り合ってないよー」
「…え?」
さっきの校門の時も思ったけどなんで俺こんなにかっこいいとかって言われてるんだ?今までの人生で真冬と琴葉意外にリアルでかっこいいなんて言われたことがない。
…あ、顔が整ってるは言われたことがあるか…
でも顔が整ってるとかっこいいじゃ意味が違うだろうし…
っていうか琴葉が俺に釣り合ってないのは事実だけどそれは俺が琴葉に追いついてないって意味だ。
「お兄さん!よかったら連絡先教えてください!」
「えっ…ちょっ…」
「私も!」
「私もお願いします!」
「うっ…」
こういうぐいぐい来られるのは苦手というか俺の性格と真逆というかで苦手だな────っ!?
「────……」
気づくと琴葉が殺気を込めたような目で俺のことを目に映していた。
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