第65話ルナの自責
俺は琴葉の作ってくれた朝食を食べ終えてスマホを見てみると、メールが来ていることに気付いた。
「…もしかしてマユが昨日俺とルナが深夜に遊んだことに気付いたのか?」
いや、そんなわけがない、深夜に遊んだことに気づく方法なんてなかったはずだ。だとしたら…ルナか?
俺はメッセージアプリを開くと、案の定メッセージを送ってきていたのはルナだった。
「…え!?」
────瞬間、俺は驚く。なぜなら、ルナからのメールが100件を超えていたからだ。
「……」
俺は少し深呼吸をしてからそのトーク画面を開いた。
するとそこに書かれていたのは…
『マト?』
『怒ったの?』
『ごめんなさい』
『やり過ぎたね』
『謝る』
『だから捨てないで』
『マト』
『マト』
『返事して』
『お願い」
『なんで返事くれないの?』
『さっきのことで怒った?』
「────!?」
俺はそれを見た瞬間、絶句した。
さっき読んだようなことがひたすら繰り返し送られてきている。
「こ、これは…何か返信しないとな…」
で、でもこんなのどうやって返事したらいいんだ?と、とりあえず…
『ね、寝てただけだ、別に怒ってなんかないからあんまり気にしないでくれ』
全く気にしていないのかと言われれば嘘になるけど、ここまで謝られるほどのことでもない。実際には未遂に終わったんだし、最悪服が全て融けてしまってたとしてもあそこはゲームだ。
現実ほど深く考える必要はない。
俺がルナにメッセージを送ってから、わずか数秒でメッセージが返ってきた。
『マ、マト…!寝てただけだったんだね…!安心した、でも…昨日はごめんなさい、これからはもっと順序を踏む』
順序を踏むと言う言葉に少し引っかかりを覚えたが、反省してるみたいだったし何よりこれ以上重たい空気に俺が耐えられなかったため、俺は軽くメッセージを返す。
『あ、ああ…本当に気にしないでいいからな』
『うん…今日もお迎えに行ってもいい?』
ルナはどうやら今日も学校に行くらしい。一度学校に行くのをやめた人が、もう一度学校に行く重みを理解してないわけじゃない、ここで断るなんてことはできない。
まぁ、そんな理由がなくてもルナとは仲良くなってきたし、断る理由なんて元々ない。
『もちろんだ』
『わかった!すぐ行くね!』
「……」
このビックリマークを付けた感じで喋るルナがどうしても想像できない。
文字と実際の喋り方が違うなんて、今では気にすることでもないのかもしれない。それでもどうしてもルナの場合はイメージと違い過ぎて少し違和感がある。
「…慣れるしかないか」
俺は誰に言うでもなく、1人のリビングでそう呟いた。
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