第50話クラスの驚愕
「……」
な、なんでいきなりこんなに静かになったんだ…?もしかしてるなはネットとかで有名人だったり…?
そんなわけないか…るなの性格的にそんなことをするタイプには見えない。じゃあなんでみんなこんなに驚いたような顔で沈黙してるんだ…?
「あれが、鬱宮さん…?」
1人の女性とが小声で話しかけると、どんどん派生していきクラス中が騒がしくなった。もう少し耳を傾けてみると…
「全然噂と違うじゃん、根暗な子って噂じゃなかった?」
「確かに、てか綺麗すぎー」
「……」
なるほど、ようやく理解できた。多分るなはあの包帯を巻いてたり色白かったり隈があったりのせいで学校中に根暗的な印象を受けていたんだろう。
しかもそこでるなは学校に行かなくなったんだからその噂に尾鰭がついてもおかしくない。どんな理由で学校に行ってないにしろ、不登校という単語だけ聞けば何かマイナスなことを想像してしまう。
だからその想像とのギャップにクラス中は今唖然としてるんだろう。
すると、さっき話しかけてきた男子生徒が今度は手のひらを返すようにるなに話しかけた。
「う、鬱宮さ!きょ、今日…暇?」
…さっきまで明からさまに喧嘩腰だったのに、いきなりなんだこの態度は…見てて痛々しい。
「マト以外、興味、ない…」
「…ちくしょうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
男子生徒はそう言うと、教室の外に走って行った。って!
「る、るな!俺はマトじゃなくて本名は誠だから、誠って呼んでくれ」
「やだ、マトが、いい」
「えぇ…」
まぁ別に呼び方なんてどっちでも良いけどなんていうか違和感がすごい。
それにしても…
「なんであの子の隣に狛神がいんだよ」
「うぜぇ」
「邪魔だな」
「……」
これはいち早くるなと距離を取ったほうが良さそうだけど、るなは登校時からずっと俺の服の左袖を握っていてなかなか離してくれそうにない。
「なんかクラスうるさくない?」
後ろから今登校してきたと思われる花龍院が話しかけてきた。
そして花龍院は俺の隣に誰かいることに気づいたのか、るなの方に目を向けた。
「えーっと…誰?」
「……」
「鬱宮だ」
俺がそう答えると、るなは俺の左手首を軽くつねった。
「痛い痛い!なんでつねるんだ…」
「苗字、他人行儀、だから」
「し、下の名前で呼んでも知らないかもしれないから苗字の方がわかりやすいと思っただけだ!」
「…なら、今後は、ずっと、るなって、呼んで」
「…わかった」
どうやらるなは変なところに意地があるらしい。確かに下の名前の方が親近感はあるかもしれないけど…まあいいか。
「へ、へぇ〜、狛神にもこんな可愛い知り合いがいたんだ〜」
「まぁ…」
知り合いというかなんというか…その辺の説明は別にいいか。
「も、もしかして付き合ってんの?」
「付き合ってるわけないだろ!」
「そ、そう」
「……」
「痛っ!」
るなは特になにも言わなかったが、なぜかさっきよりも強く俺の左手首をつねった。
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