第51話るなは2人になりたい
「…じゃあ鬱宮、ここ分かるか?」
授業中、先生がるなを数学の時間で当てた。先生もだいぶ鬼だな…今まで学校を休んでた人にいきなり問題を解けと言うなんて。
「実数xが3、で、yが9」
「正解だ」
すると先生はるなが言った答えまでの式を黒板に書いた。…え?いや、え!?まだ先生があの黒板に問題を書いてから1分も経ってないのに…
クラスメイトも俺と同じ感想だったのか、クラス中がざわめく。
「鬱宮さんって頭良いの?」
「私今のわかんなかったー」
「狛神…呪う」
「……」
最後よくわからないのが聞こえた気がするけど一旦無視するとして、るなは頭が良い…のかわからないけど少なくとも数学に関しては普通にできるみたいだ。学校に行ってなくても勉強ができるなら誰も文句は言わない。
多分先生はそれをクラスに示し、イジメとかが起きないようにしたんだろう。
…流石先生だな。
休み時間になると、るなはすぐに俺のところにやってきた。
「マト、私、どうだっ、た…?」
「ああ、凄かった」
「えへへ…」
るなはにっこりと笑った。…クラスの男子生徒から嫉妬と憎悪を含んだ目で見られてるけど、これは一旦無視しよう。
「マト、いると、学校、楽しい」
「そ、そうか…?」
俺はどちらかと言うと学校には行きたくない側の人間だ。できることなら家でずっとゲームをしていたいと思ったことも一度や二度じゃないが、やっぱりなんとなく学校に行ってないと不安になってしまうため一応行っている。…洗脳されてしまっているのかもしれない。
「ねぇ、マト…」
「…ん?」
「ちょっと、校舎裏、行こ?」
「こ、校舎裏…?」
校舎裏行こうなんて初めて言われた。校舎裏なんて多分何も無い。
るなは日陰とかが好きなのか…?でも教室だって十分日陰だし、だとしたら…人が少ないところに移動したいとか、そんな感じか。
「良いけど、多分時間的に往復するのがやっとだと思う」
仮に少し校舎裏にいることができたとしても、休み時間は短い。そんな移動をしていたらあっという間だ。
「じゃ、あ、マト、と、2人に、なれる、ところ、ある…?」
「えっ…」
俺と2人になれるところ…正直どこでもなれそうな気はするけど…
「ろ、廊下の隅とか…?」
廊下の隅は人がいそうで地味にいないスポットだ。一年前はたまにだけど真冬と一緒に行ったりもした。
「じゃあ、そこ、行く、から、来て」
「わ、わかった」
廊下の隅…しかも2人きりでとなると、重要な話かもしれない。もしかしたらやっぱり早退したいとか…それなら手伝えることもあるかもな。
俺とるなは一緒に教室を出て、廊下の隅を目指─────
「誠、くん…?」
「あっ…」
るなはまたしても俺の左袖を握っている。…こんなところを見たら真冬は…
「…その女の子、誰?」
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