第19話謎のフレンド申請

 今日はとうとう2度目のクエストに行くとマユと約束した日だ。マユに大反対されたけどやっぱりモンスターと戦ったりする感覚は楽しかった。本来それがこのゲームの醍醐味だと思うし、戦闘なしではやっぱりMMOは語れないところもあるだろう。

 俺は早速H・J・Oを起動し、ログインした。ログインした瞬間に、目の前に普段はあまり見慣れない表示がされた。


『フレンド申請』


「フレンド…?」


 何度も言うけど俺はクエストには前に一度マユと行っただけで、他の人と遊んだりする機会はなかった。というより、機会はあったけどマユに強く禁止されていた。強いていうならチュートリアルで軽いクエストに行ったぐらいだ。でもチュートリアルはオフラインだったからそもそもフレンド申請が送られてくる道理もない。


「誰なんだ?」


 俺はそのフレンド申請というテキストが出ているところをタップし、そこに表示されている名前を見た。が…


『非公開』


 名前を非公開設定になんてできるのか、知らなかったな。それにしてもこれじゃこの人が誰なのかもどんな人なのかもわからない。


「…ん?」


 よく見ると下にメッセージが送られてきている。フレンド申請と一緒にメッセージも送れる仕組みなのか。これはありがたい。俺はそのメッセージに目を通した。


『別にならなくてもいいけどなりたかったらなれば?』


「…は?」


 思わず「は?」という言葉が漏れてしまった…なんだこれは、フレンド申請なのか?それにしてはだいぶ上から目線だし、しかもそっちから送ってきてるくせになんでこんな不機嫌そうなんだ?ちょっとマユに相談してみよう。

 マユとの集合場所に急いだ。少し遅刻してしまった…


「悪い、マユ、遅れた」


「ううん、私も今来たところだから大丈夫」


 模範回答だな。これテストに出るだろ。


「でもどうして遅れたのかだけは教えてもらっていい…?」


 マユは不安そうに言った。多分俺がこの前体調不良って言ったからマユはそれを心配してくれてるんだろう。


「なんかよくわかんない人からフレンド申請が来てて、それを確認してたんだ」


「…フレンド申請って?私に黙って勝手にクエスト行ったの?」


 誤解されても仕方ないけどそれは誤解なので俺は誤解を正すように言う。


「違う違う、本当に俺にもよくわからないんだ。クエストにだってマユとしか行ってない!」


「…そうだよね」


 どうやら不安にさせてしまったらしい。


「…そのフレンド申請送ってきたのって女の子?」


「それが、名前とかが非公開になっててメッセージが送られてきて、そのメッセージの文しかわからないんだ」


「なんて書いてたの?」


 俺はそのまま『別にならなくてもいいけどなりたかったらなれば?』と送られてきたことを伝えた。


「ならなくてもいいならならなくてもいいんじゃなかな?誰なのかもわからないんだし、変に人と関わらない方が得策だと思うよ…?」


「そ、そうだな…」


 誰なのかわからない人とフレンドになんてなっても別に何もないだろうし、それでいいか。


「……」

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