第18話マユからの恐怖メール
今日は休日だ。特に用事もないから心置きなく暇を貪ることができる。
`ピロロン`
「……」
なんてそんなわけもない。いつも休日になると、必ずマユから朝一で遊ぼうとの連絡が来る。案の定スマホを開くとマユからのお誘いメールだった。
『今日も一緒に遊ぼ!』
「……」
どうしよう、なんか今日はそういう気分じゃない。気分じゃないっていう言い方をしたら悪いけど、単純にちょっと体がだるい。VRをやったあとは今でこそだいぶ慣れたけど少し疲れたりもする。この体調でゲームをする気にはなれない…マユには悪いけど断りの連絡を入れよう。
『ごめん、ちょっと今日はできない』
よし、これで大丈夫だろう。
`ピロロン`
おそらくマユからのわかったということを知らせるための連絡だな。これは見なくてもいいか。俺は起きたばかりだけど、やっぱり体が怠いため、仮眠を取ることにした。
`ピロロン`
「……」
`ピロロン``ピロロン``ピロロン`
「あー!うるさい!」
変だな、アラームなんてかけてなかったはずなのになんでこんなにうるさいんだ。あれからまだ10分も経ってないじゃないか。いつの間にかちょっとだけ寝ていたみたいだったのに…台無しだ。
「…ん?」
アラームかと思ったけど、どうやらメールの着信音だったらしい。アラームと間違えるぐらいなってたな…バグか?一応メールを確認しようとそのメールにダイレクトでショートカットした。すると、俺は驚愕的なものを目にすることになる。
「な、なんだこれ…」
それは、約10分前からなる怒涛の文章の連なりだった。
『できないって、なんで?何か理由でもあるの?』
『あれ、なんでいきなり返信してくれなくなったの?』
『もしかして私に言えない事情なの?』
『浮気してるとかそういうこと?』
『ねえ』
『ねえ』
『ねえ』
『ねえ』
『ねえ』
そんな文章が延々と送られてきている。じ、尋常じゃない。まさかさっき俺がわかったと言ってくれたと思ってたメールが確認のためのメールで、しかもこんなに肥大化するなんて…確かに相手から浮気してるようにも見える、のか…?でも普通こんなになるのか?
「…そういえば真冬もこんな感じだったな…」
真冬もこんな感じで少しでも連絡が途切れたらいつも連続で文章を送ったりしてきていた。俺はそれが異常だと思ってたけど、普段は温厚なマユですらそうなってしまうなら、それが普通なのか?真冬も俺がイレギュラーなことさえしなければ別に変なことはなかったし。強いて言うならちょっと…だいぶ俺の周りの人間関係への警戒が強いぐらいだったな。
「とにかく誤解を解こう」
俺は必死に文章を考えてマユにメールを送った。ここは言葉選びを慎重にしなければならない。
『悪い、マユ、理由も言わず…ちょっと体調不良だったんだ。浮気してるなんていうことはない』
『あっ!マトくん!よかった〜!体調不良だったんだ、私も早とちりしちゃってごめんなさい。体調大丈夫?』
『大丈夫だ、ただちょっと今日はゲームは控えたいんだけど、いいかな?』
『もちろん!マトくんの健康が第一だもん!』
良かった、やっぱりマユは優しい。さっきはちょっと色々と不安になっておかしくなってただけだったんだ。俺は改めて眠ることにした。
「大丈夫かな、誠くん…ちゃんと現実で会えたら私が看病してあげられるのに…早く会いたいなぁ…」
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