第9話妹の琴葉
妹の名前は狛神琴葉。至って普通の名前だと思う。名前だけ見れば非常に可愛らしいと思う。…いや、妹だから可愛いとか可愛くないとかは思ったことは無いけど見た目も可愛いと評判らしい。
だが、そんな一見モテそうな琴葉でも彼氏はいない。それはなぜか…それは妹がおそらく‘ブラコン‘だからだ。ブラコンって言うのは兄弟のことを好きすぎる人のことを表す言葉なんだけど、まさにその通りで琴葉はとにかく俺に構ってくる。
例えばトイレをしている時やさらにはお風呂に入っている時まで…まあ小学生ぐらいまではそれも可愛いと思ってたけど中学生ぐらいに入ってもそれを続けていてそしてなんと琴葉は今俺の1つ下、つまりは高校1年生なんだけど高校に入ってからもその癖…っていうか‘それ‘が治ることはない。
だから俺は琴葉のことをブラコンだと認定した。俺的には俺なんかに構ってる暇があるなら早く彼氏でも作って高校生活を謳歌してほしい。
いっそもうこの機会に琴葉本人に言ってみるのもいいかもしれない。
「琴葉…」
「ん?元気ないけどどうしたの?もしかして…味が合わなかった?」
「あっ、いや、そういうわけじゃないんだ。ご飯はものすごく美味しいよ」
「…あ、ありがと。でも、ご飯‘は‘ってどういう意味なの?」
やっぱりご飯中にこういうことを話すのは失敗だったかもしれないけど…まあ、もうこんな空気にしてしまったんだし、言うしかない。
「その、だな…」
「うん」
「俺のために色々してくれるのは嬉しいけど、そろそろ琴葉も彼氏とか作ってみてもいいと思うんだ」
そう、本当に色々してくれている。洗濯とか俺の部屋以外の掃除とかご飯とか、本当に色々してもらっている。元カノと別れた時のメンタルケアまで…
「琴葉だって別にモテないわけじゃないんだろ?いや、むしろモテてるはずだ。この前ポストにラブレターが入ってたし…」
「…ちっ、ポストに入れるなんて…」
「?」
「でも、とにかく琴葉はそろそろ兄離れするべきだ」
言ってしまった。いや、これは俺がいつか言わなければいけないんだ。
「兄離れって…何か勘違いしてない?」
「…?」
「お兄ちゃんと私は元から一つだったんだよ?双子じゃないにしても一緒の場所からこの世に生を持ったんだし」
「いや、それは──」
「兄弟って言うのは一人っ子の人とかと違うと思うんだよね。一人っ子の人は一人でもある程度最高のパフォーマンスを披露できるけど兄弟は一緒に居ないとその半分しか発揮できないと思うんだー。だから、兄離れも何も私たちはそもそも共存するために生まれてきたんだよ?」
「……」
い、言っている意味が分からないのに反論できそうなところが無い。いや、そういうような言い方をしているんだ。
「何も反論しないってことは納得してくれたんだねっ!」
「……」
し、白々しい妹だ…
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