第5話卑怯なボス
「あれが…階層ボスか」
見た目としてはさっきまでの訓練兵は男性型っぽかったけどどうやらこのボスは女性型らしく、周りに4人の訓練兵を従属させていることから少し地位が上なのだとわかる。モンスターにも地位なんて言うものがあるのか…
「じゃあ、私が前に出るからマト君はここで待っててね!」
「いや、俺が前に出る。さっき情けないところを見せたから」
「情けなくなんて無いよ!情けなくなんて無い…けど、うん。わかった、じゃあマト君が前に出て!私は後方支援するから」
「ああ、ありがとう」
そして俺が前に出ることになり、マユは後ろから色々と援護してくれるらしい。
「さて…」
どうやって攻めよう。とりあえず周りの奴が邪魔だから周りの奴を倒したいけどもしこれがあの女型の奴を倒すまで無限湧き、なんていう感じだったら永遠に終わらない。ならやっぱりここは本体を狙うべきか?とりあえず本体に攻撃してみよう。
「はあっ!」
俺は本体に一回剣を切りつけた。すると…
「あああっ…」
「よしっ!」
ちゃんと効いてるみたいだ。なら、このままごり押しで──と、俺がさらに剣を振ろうとしたらこいつは周りにいた訓練兵を‘盾にして‘その攻撃を防いだ。
「なっ…そんなのありなのか!?」
っていうか有り無しの以前に味方を盾にするってだいぶ嫌なやつだな。もうちょっと奥の階層でこういうのが出てくるならわかるけどまだここ第1階層だぞ?この先どんな奴が出てくるんだ?しかもこれがボスなのか・・・卑怯だなあ。
「こうなったら周りの奴からやってやる!」
そして俺は周りにいた訓練兵にとりあえず剣を振りまくって倒した。
「はあっ、はあっ、マ、マユ、回復アイテムを──」
と、俺がマユの方を見てみると…
「ほわあ…」
「…マユ?」
「……」
な、なんだ?なんでなんかのほほんとしてるんだ?
「マト君かっこいいなあ…見惚れちゃうよお…♥」
「……」
お、おい、まさか見惚れてて全然俺の声が届いてないとかそういうやつか?冗談だろ!?まずいな、このままじゃ負けるぞ、またあいつらが湧いてきて──
「あれっ…?」
そういえばあの訓練兵たちが湧いてきてない。もしかして、無限湧きじゃないのか?いや、時間制限かもしれないな。なら…
「今の内に攻めるっ!」
だが、こいつ攻撃能力はほとんどないくせに防御性能がものすごく高い。本来の陣形的にはこいつは防御で訓練兵たちが攻撃係ってところか。まあ、どちみちまだ1階層だからそんなに強くは無いんだろうけど…
そして俺は約10分かけてそのボスを倒した。
「よっしっ!!」
初めての戦闘にしては頑張ったと思う。っていうか結局最後までマユは後方支援なんてしてくれなかったな…
「流石マト君!ごめんね…途中マト君がかっこよすぎてちょっと意識失ってた…」
人ってかっこよすぎるものを見ると意識失うんだ…
「あ、ああ、とにかくなんとかなって良かった…」
そしてボスがいた奥に下に続く階段とその横には宝箱がある。
「「やったあああああああ!!」」
俺たちは2人して喜んだ。宝箱が出てから5分間も歓喜の声を上げていた。
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