第6話元カノの面影
「……」
「……」
…調子に乗って叫びすぎた。おかげで目前に宝箱があるのに喉が可哀そうなことになっている。そろそろ宝箱を開けたいな…
「ねえ、そろそろこの宝箱開けてみない?」
「あ、ああ、そうだな…」
どうやらマユも俺と同じ考えだったらしくもう宝箱に手を添えていた。どうやらクエストメンバー全員でないと宝箱は開けられないらしい。
そしてマユの手の横に俺の手も添えて二人で一気に開けてみる。すると、その宝箱が一瞬眩い光で包まれ、アイテムが出てきた。
「…え?」
なんか思ったよりも小さいものが出てきた。まあ、まだ第1階層だからそんなにいいものが出るとは期待してなかったけどこれは…ネックレスか?
「ネックレスが二人分あるね」
「……」
えっ、まさか俺のさっきの死闘はネックレス2つで片付けられるのか?俺はそんなことは嫌だと思いながらもネックレスの説明文を読んでみることにした。
『誘引の首飾り』
・これを装備していると異性プレイヤーにマッチングしやすくなる。
「…は?」
な、なんなんだこれ。っていうかマッチング機能とかもあるのか。
「おお…」
このネックレスは装備しないけど今度そういうマッチング系のやつをやってみても楽しいかもしれない。
「ん?何それ?」
「えっ、あっ!ちょっと待って…」
特に何もやましいことはないのになんだかやましいことでもあるように聞こえてしまったかもしれない。っていうか傍から見たらこんなの完全に──
「何これ、浮気なの?」
そうなるよな…
「いや、たまたま宝箱から出てきて説明読んでただけで──」
「じゃあさっき「おお…」とかって言ってたのはなんで?まさか喜んでたの?」
「いやいや!違うって!」
なんか地味に嫌な方向に勘違いされてそうで嫌だな。
「それは別のことで驚いただけだって」
「別のことって?」
「そのネックレスの説明にマッチングってあっただろ?だからこのゲームにはそんな機能もあるんだなあって」
「で?それを知ったマト君はどうするの?」
「えっ…」
な、なんだ?マユってこんなに質問攻めしてくるタイプなのか?いや、まあ彼氏が浮気をしようとしてると思ったらそれぐらい普通なのか…?‘元カノ‘を思い出すからやめてほしいけどさすがにあいつと比べるのはマユに失礼だな。
ここで「マッチングしてみたい」なんて言ったらなんか怒られそうな雰囲気なので俺は適当にはぐらかすことにした。
「いや?ただそういう機能があるんだなあって思っただけだ」
「…ふーん、そう?」
そういうと、若干ジト目で俺のことを見ている気がするけどまあ、うまくはぐらかせたはず…だよな?
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