第1話クエスト準備

 そして次の日、俺たちはクエストの準備をすることになった。マユが「準備は絶対に怠らないように!」とか言って本当は一人で準備しようと思ってたけど繭と一緒に準備することになった。


「はあ、初級クエストなんだからそんなに気張らなくてもいいと思うんだけどなあ…」


「だーめ、ちゃんと準備しないと足元救われることになるよ?」


「わかったって」


 そして俺たちはショッピングエリアに向かうことになった。このゲームの人気の秘訣はその自由性にありファッションなどもすごく種類が豊富で女性にもかなり人気らしい。色々な時代の色々なファッションやアイテムや装備や武器があるから見ているだけでも本当に楽しい。


「あっ、あっち行こ?」


 と、マユが指さしたのは洋服店だった。


「おい、それ洋服店だろ?俺たちが今探してるのは────」


「あー、どんなお洋服あるか楽しみだねー」


「……」


 何かはわからないけどこれ以上は言ってはいけないような何かを感じたので俺は特に何も言わずに洋服店に入った。

 そして20分後…


「や、やっと解放された…」


「解放って…人聞きの悪い言い方しないでよ!」


「いや…ごめん」


 俺だってこんな言い方したくないけどでも本当にそう言いたくなるようなぐらい長く感じた。服選び、ましてや今はクエストに行くための準備をしている最中に「どんな服着てほしい?ちょっと露出が多くてもいいよ」とか普通真顔で言うか?


「じゃあ、今度こそあの武器屋さんに行こう」


 そして今度こそ俺たちは武器屋さんに入った。…よし、ようやく本題に入れる。まあ、そもそも初級クエストにこんなに準備する必要があるのかはちょっと疑問なんだけどまあそれはもう言わないようにしよう。


「おお…」


 何気に武器屋さんに入るのは初めて…っていうわけではなく一応鑑賞ぐらいはしたことがあるけど、いざ本当に装備を買うっていう気持ちで来てみるとなんあ前とは景色が全然違うように見えるな。

 俺はとりあえず‘かっこいい剣‘を探してみることにした。


「…無いな」


 数分間かっこいい剣を探してみたけど無かった。多分クエスト素材とかで手に入るんだろうな…羨ましすぎる。俺はもうこのゲームを始めて1年にもなるのにチュートリアルで木の丸太に攻撃したぐらいだぞ…


「あっ、これとかマト君に似合いそうじゃない?」


「ん?」


 そう言いながら見せてきたのは片手剣の至って普通な感じの長剣だった。


「いや、長くないか?」


「うん、マト君がどうしても剣が良いっていうから剣にしてあげたけど私的には近距離で戦う剣じゃなくて遠距離で戦う銃とかの方が良かったんだけど、マト君の意見も取り入れたいからせめてできるだけ長い剣にしてあげたんだよ?」


「わ、わかったわかった、じゃあそれにするよ」


「ありがとう!じゃあ買ってくるね!」


「えっ、いや、自分で買──」


 俺が最後まで言い終わる前にマユは会計を終わらせた。そして武器屋さんの外に出た。


「はいっ!プレゼント♥」


「あ、ああ、まあ、そういうことなら…」


 そして俺はマユから片手で扱う長剣をもらった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る