2、大切な幼馴染
第6話 春木の父親の感謝
有栖、姫、夢色。
ようやっと仮にも繋がった。
繋がったというのは取り合えず何とか.....纏める事が出来たという事だ。
俺は取り合えずホッとしながら家に帰って来た。
のだが。
「何?文句あるの。貴方は兄なんだからこれぐらいやりなさいよ」
「.....あのな.....お前.....何でもしても良いって事じゃ無いんだが」
「アハハ。頑張ってねお兄ちゃん」
「がんばって。お兄」
結論から言って洗濯物は俺任せになった。
神田さんが笑う中、俺は一生懸命に洗濯物を運んでいく。
そして汗を流しながら置いた。
重すぎる、と思う。
それから俺は洗濯物を洗濯機に入れる。
すると.....下着が出てきた。
何だかアニメ柄で子供くさい、だ。
このパンツは夢色のか.....?、と思いながら拾うと。
勢い良く取られた。
それから真っ赤になるソイツ。
って、え?
「.....え?有栖?」
「.....最低」
「.....お、お前のか?それ」
「.....そうだけど。悪い」
「.....」
そして拳を握り締める有栖。
暴力は反対なんですが、と思いつつ。
俺は逃げようとする。
のだが有栖は拳を引っ込める。
それから、もう良い、と去って行った。
「しかし子供っぽいの履くんだなアイツ.....」
思いながら俺は洗濯機に(家族の下着以外は俺任せ)を放り込んだ。
すると.....親父がやって来た。
それからニカッとする。
何だよ一体。
「元気か」
「何がだよ。聞かんでも元気だよ俺は」
「.....洗濯機動かしたら少しだけ話し合おうじゃないか」
「.....?」
親父は柔和になる。
それから二階を指し示した。
何だ?有栖の下着を見たの怒られるのか?、と思いながら俺は洗濯物を全て入れてから洗剤と柔軟剤を入れて動かしてから。
俺は親父の部屋に向かった。
ドアを開けると親父がニカッとしている。
「さっきぶりだな!」
「アホなのかアンタ。さっきぶりとかじゃないだろ」
「.....そうだな。.....まあ座れ。春木」
「どうしたんだ。親父」
「.....」
親父は俺を見てくる。
ドアを閉める俺。
それから俺を見つめてきた親父。
俺は?を浮かべて見つめる。
「有難うな」
「.....何がだ?親父」
「.....3姉妹の事だ」
「.....手こずっているが.....それでも有難うなのか?」
「.....正直、お前は相手しないものと思っていた。だけど必死やってくれている。だから嬉しいのだ」
良いながら親父は歯を見せて、ガハハ、と笑う。
俺は眉を顰めながら盛大に溜息を吐いた。
それから俺は腰に手を当てる。
それだけか?、と聞いた。
すると、いや。まあそれだけじゃない、と答える。
「春木。あの3姉妹の事、これからも宜しくな」
「親父らしくもないんだが.....」
「俺は心からお礼を言っているつもりだ。お前に。再婚も.....反対だったろう。だけど承認してくれた。無理を、だ。.....有難う」
「.....そうか」
「.....さて。それではコイバナをしようか!!!!!」
コイバナって何だ。
思いつつ俺は眉を、顔を顰める。
すると親父は、ハハハ。当然!幼馴染ちゃんと3姉妹!どっちが好きなのだ!、と笑顔を浮かべる。
あ?奈々と比べて?
比べようが無いんだが.....というか奈々とはそんな関係では無いのだが。
そして3姉妹とも、だ。
恋愛に発展しないぞ。
「親父。すまないけど期待するものは何もない」
「そんな事言うな。奈々ちゃんも可愛いじゃないか!3姉妹も良い子だ。お前を好いている筈だ!」
「.....期待し過ぎです」
有栖が聞いたら、ハァ?死ねよ、とか平然と言いそうだな。
それに奈々が聞いても、お姉ちゃんにそんな気持ち無いから、と否定されそう。
考えると破滅的だな、と思う。
思いながら俺は苦笑しながら親父を見る。
親父は、そうか、と俺を見た。
「楽しいか」
「.....何がだよ」
「.....今が、全てが、だ」
「.....充実はしているな。取り敢えず」
「そうか。なら良い」
クエスチョンマークばかりだな。
思いつつ居ると親父はラノベを取り出した。
それから、これ面白かったぞ、と言う。
相変わらずのアニメオタクだな。
考えながら、新しいラノベ貸そうか?、と笑みを浮かべる。
「そうだな!アッハッハ!」
「.....ったく」
そして少しだけアニメの話で盛り上がってから。
俺は自室に入って行く。
するとその奈々からメッセージが来る。
今度会える?、と、だ。
俺は首を傾げながらも、まあ大丈夫だ、と答えた。
☆
「再婚相手に連れ後が居てしかも美人。これ間違ってる?」
「気持ちが悪いなお前。何で知っているんだよ」
「お姉ちゃんには抜け目が無いからね!ハハハ」
「.....」
呼び出された喫茶店でその様に言いながら笑顔を見せる褐色肌の女の子。
いやまあ同級生なのだが何故か奈々は俺を弟と言う。
それから偉そうな感じは相変わらずの田中奈々(たなかなな)を見る。
17歳で俺とは昔からの幼馴染での腐れ縁な感じだ。
より正確に言うなら小学校低学年ぐらいから、だ。
顔立ちはボーイッシュな顔立ち。
だが整っておりイケメンというか可愛い感じのイケメン。
それからつばのある帽子を好んでおり.....そうだな。
短パンにTシャツの様な。
それから草野球チームに入っている女の子。
成績は微妙な少女だ。
俺を見ながらニヤニヤする女の子。
その姿を見ながら俺はジュースを飲みつつ。
盛大に溜息を吐く。
そして奈々を見つめる。
「何処で知ったかは言わないだろうけど.....でもそれらが言いたいが為に俺を呼び出したってか」
「ちゃいまんねん。それだけじゃないンゴね」
「.....何だよじゃあ」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれた」
「いや、聞くだろ普通」
そして真剣な顔になる奈々。
実は私の草野球チームが補欠を欲しがっている。
だから君、とそこまで言い掛けたその言葉を切る様に、ノー、と答えた。
俺を参加させようという魂胆は丸見えです。
そんなもんに参加はしない。
絶対に嫌なんだが。
あちゃー、と言いながらテヘペロな感じで額を弾く。
「やっぱ駄目か~」
「当たり前だろ。い・や・だ」
「そう。じゃあ妹ちゃん達を補欠に」
「オイ。何でも良いのかお前は。.....しかもアイツらが?参加する訳あるかい」
「そんなもん言ってみないと分からないでしょうに」
あのな.....、と思いながら居ると。
目の前の入り口のドアが開いた。
それから何故か知らんが。
変装した感じの夢色?と.....姫?が入って来た。
白い髪の毛にボブ。
髪の毛に蝶々の髪留め。
え?は?
「.....!?」
「ん?どしたの?」
「.....いや。.....何でもない.....」
姫に夢色だな。
バレバレの変装で怪しいんだが。
何やってんだアイツら.....。
思いつつ俺はグラサンに戸惑っている店員を見ながら。
額に手を添えて盛大に溜息を吐いてから.....目線だけで追う。
するとその2人は丁度、俺達が見える位置に座った。
コーナー、つまり角みたいな場所に、だ。
奈々には見えんが俺はバッチリ。
いや、割とマジに何やってんだ.....。
今日の事、言って無いんだが。
木曜日。
お前ら休日の用事ってこういう事かよ.....。
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