第3話 家事の分担を決めよう!
「はえー!凄い。まさか夢色を手なずけてリボンを着けさせるなんて」
「.....」
姫は酷く驚いた様に俺を見てくる。
夢色はリボンを触りながら、えへへ、と笑顔を見せる。
目の前の有栖はそれなりの顔だったが。
俺は横に座っている夢色を見ながら少しだけ笑みを浮かべる。
そういえば神田さんとか何処行ったのだろうか。
思いながら周りを見渡していると姫に察されたのか姫が話した。
「お母さんは食材を買いに行ったね。お義父さんは何だか用事が有るって」
「.....ああ。そうなんだな」
「だからこの4人なの。アハハ。ね?お姉ちゃん」
「.....」
有栖は怒った様に横を見る。
どうやらトイレでの出来事をまだ恨んでいる様だ。
俺を見ながら眉を顰めている。
それなりに俺も顔を顰める。
困ったな、と思う。
すると夢色が俺を見上げてきた。
「お兄」
「.....?.....どうした。夢色」
「お姉ちゃんとも仲良くしてあげてね」
「.....いや、ちょっと無理がある」
流石にこれは.....黒いオーラが凄まじい。
俺がどうにか出来る問題とは思えないのだが。
思いつつ俺は.....盛大に溜息を吐いた。
それから見ていると。
有栖は、もう良いかな、と不愉快そうに去って行った。
ますますため息が出る。
「アハハ.....お姉ちゃん攻略は難しそうだねぇ」
「そもそも攻略出来ないだろ。これは」
「まあまあそんな事言わずに。がんばろ?お兄ちゃん」
「そう。お兄」
「.....」
何で俺はこんな目に遭っているのか。
思いつつ俺は額に手を添える。
そして有栖が去って行った方角を見た。
先は長そうだな、と思う。
そうしていると夢色が俺の手を握ってくる。
「お兄。お願いがある」
「.....何だ?」
「今度、絵の展覧会が有るの。そこに連れてってくれない。お兄と一緒なら行けるかも」
「.....夢色。それはお姉ちゃんと一緒に.....」
絵を見ると吐き気がするんだ。
特に有名な絵とか、だ。
俺は困惑しながら夢色を見るが。
夢色は涙目になっていた。
俺は驚愕する。
「.....だめ?」
「.....ああもう分かったよ.....」
「やった。やくそく。ゆびきりげんまん」
俺の手を無理矢理ゆびきりげんまんする夢色。
その姿に俺は苦笑い。
すると目の前でニヤニヤしていた姫が両手で頬杖をつきながら俺を見た。
そしてニコッとする。
「良かったですねぇ。お兄ちゃん。好かれましたね夢色に。アハハ」
「.....いや。そんな事では無いと思うが」
「.....でもね。お兄ちゃん。本当に珍しいです。夢色がこんなに懐くなんて」
「.....え?」
「.....夢色は.....基本的に人を心から信じません。それは姉妹であってもです。だから珍しいんです。そんなに貴方に懐くのが」
俺は見開きながら。
横に居る夢色を見る。
夢色は何だか楽しそうに鼻歌を歌っていた。
俺はその姿に少しだけ神妙な面持ちになってしまう。
姫は苦笑いを浮かべながら手を叩いた。
「さて!それはそれで。.....この後どうしましょう!?」
「.....俺は自室でラノベ読む」
「楽しくない!!!!!陰湿!!!!!」
「何でだよ」
「こんなに可愛い姉妹が居るのに!?アホなの!?」
><という感じの目をしてブーイングを発する姫。
俺はその姿に、じゃあどうしろってんだ、とため息混じりに話す。
まさか何処までも一緒って訳にもいかないだろ。
と思いながら、だ。
すると姫はニヤッとする。
「ババ抜きしよう」
「.....何でだよ」
「何でってそれは決まっているじゃない。お兄ちゃん。.....役割分担だよ」
「.....例えば?」
じゃあ私達の下着も洗う?、とニヤニヤしながら姫は話す。
(・∀・)ニヤニヤ、と、だ。
俺はまさかの言葉にボッと真っ赤になる。
アワアワする夢色。
彼女も真っ赤になりながら、だ。
いや、冗談じゃ無い!
何を言っているんだ!?
思いつつ姫を見る。
「まあ冗談だよ?そんな事をしたらみんなからぶっ飛ばされるしハズカシイ」
「.....当たり前だ。お前はなんて事を言うんだ.....」
「ホッとした」
当たり前の事である。
でもちょっと惜しいと言えば.....言える。
何故かといえば俺は男だからな。
それなりにはある。
思いつつ.....俺は姫を見る。
「だからそれだったらトランプで決めよって事ですたい」
「成程な。.....じゃあ役割分担するか」
「私も?」
「夢色も当然参加。でも夢色がもし担当になったらお兄ちゃんが手を貸してくれるってよ」
「なんでだよ。それだったら半々じゃないか」
えー。お兄ちゃん。
当たり前じゃない.....お兄ちゃんなんだから。
とジト目になる姫。
何でそんな事に、と思いながら夢色を見る。
夢色は涙目になっていた。
「.....だめ?」
「その技は繰り返し使っても効果は無いぞ。夢色」
「.....ちっ.....」
「.....舌打ちするな」
可愛らしく舌打ちする夢色。
慣れない舌打ちだ。
いやしかしお前な.....。
思いつつ俺は額に手を添える。
すると姫は既にトランプをシャッフルしていた。
「お姉ちゃんを呼んで来て下さい」
「お前.....勝手に話を」
「これはチャンスですよ?お兄ちゃん」
「私もいくから」
「.....何でこんな目に.....」
どんどん嫌な方向に向いている。
思いつつ俺は仕方が無いと立ち上がってから有栖を迎えに行く。
まさにカボチャの馬車の様に、だ。
そして有栖の部屋のドアをノックする。
すると十数秒遅くなり返事が有った。
「.....はい」
「有栖。俺だ。.....春木だ」
「.....何?今忙しいんだけど」
「.....役割分担を決めるぞ。洗濯とか」
「.....勝手に決めれば」
だろうな.....。
思いながら諦め半分で居ると。
夢色がドアをノックした。
それから、有栖お姉ちゃん。いっしょにゲームしよ?、と声を掛ける。
するとドアが少しだけ開いた。
それからジト目で俺を見てくる。
「.....何でアンタと一緒に居るの。夢色が」
「.....お前の為にって来てくれたんだよ」
「.....ふーん。アンタその子を手なずけるとかロリコンなの?それとも何か?ペドなの?」
「何でお前は同じ事を言うんだ。夢色と」
姉妹ってのはみんなそんななの?不愉快極まりない。
思いつつ俺はドアの隙間の有栖を見る。
有栖は俺に溜息を吐いた。
それからドアを開く。
そして有栖が出て来る。
「.....その子に免じて今日だけ付き合うから」
「.....そうか。有難うな。有栖」
「.....別にアンタの為じゃないけど。.....どスケベの変態さん」
「.....お前.....」
まだトイレの件を根に持っているのかよ。
いい加減に勘弁してくれよマジに。
思いつつ俺は有栖と共に。
まるで家族だね!、と笑顔の夢色に、ねえよ。無いわ。とツッコミを入れながら。
下の姫の待っているリビングに降りる。
リビングには姫がポーカーの様にカードを配って待っていた。
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