休息

殺してやる

コロシテヤル

・・

あいつらみんな、殺して

ゴミカスみたいに散り散りにして

木っ端微塵にして

一生恨む


恨み足りない

きっと殺し足りない


悔しい

歯痒い

何ダマされてんだよ

何も知らずに出て行って簡単に殺されそうになって

憎い 復讐してやりたい   また馬鹿にされる。


殺してやりたい、みんな


悔しい


憎い


憎くて仕方ない



あ れ


母 さん ?

なんで  笑ってんだよ。眩しい野原。 何で ―――


とても、

悲しい



ああ





かえりたい



「・・・。」


ゆっくりと開いていくまぶたから零れ落ちる。あたかいものが、日差しのやわらかな静寂とまざる。

涙。


「無理すんなって。」

「う・・」


ここはどこだ。


頭上からのぞきこむ毛むくじゃらの猫、   人?。いや、あのときの猫だ。 

胸にポッと灯る「救い」

なんだ?俺は安心しているのか。これが心というものだろうか。

「お、まえ・・っカラス、な、のか。」

もしかしたら・・・ 声が出せない。

「その呼び方やめろよ、・・・そうだよ。」



「ありが、とう。」



なんで獣人化してるのか、とか、どうして助けに来たのかとか、

それよりも、口をついて出た言葉。

フン、と鼻を鳴らし外を見るカラス。


「こっちこそ、遅れて悪かった。」


ジュッと音がして右のほうをみると、木製のテーブル、白いポットが湯を沸かしきった音。ここは一つの透明ビニールを残してくすんだ灰色の、テント内――。


「所詮「猫一匹」じゃかなわねえと思った。  ゲートまで2日ってのも運がよかった。人間化したのは予想外だったがな。」

カラス、ゲートまで行ったのか。本当にあったんだ。

ていうか今更だけどお前、結構(顔が)頼もしい?し、そんな声してたのか。なんかまるで、まるで・・・

「お、まえ。いっごほッ! い、ま、何歳、 だった っけ?」

「ああ?」

怪訝な表情をしたあとたいした様子もなく言い放つカラス。

「35歳。     ・・・なんだよ、その目は。」




だんだん落ち着いてきて、周囲の状況も呑み込めてくる。

自分は今、柔らかな布?に包まれ、寝かされている。左にはテントの一部、透明のビニールから入ってくる日差し。くすんだ灰色のテント。とても静かだ。風の音が木の葉を揺らす音以外なにも聞こえない。 そしてカラスは、「ゲート」と言った。


ゲート、冒険者、ギルド・・・


ここは、「ギルド」なのだろうか。ゲートに近いほど、能力が手に入る。

でも今、俺には何の変化も見られない。「――――っ!」 体を起こそうとすると昨日の痛みが鮮烈に蘇り、声にならぬままベッドに戻される。


「寝てろ。傷は浅くないんだから。少なくともあと「2週間」、って医者が言ってたか。回復役(ヒーラー)だってまだいねぇし。 ギルドの診療所、ってもまだ簡易なもんだ。」







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