第9話 イケメン君


「お客さんでね、イケメン君がー、友里恵ちゃんに」


興味があるらしい、と麻美は伝えた。


なぜ輝彦に伝えるのだろう。


それは、おそらく

伝える事に意味があるのだ(笑)と


若い娘らしい、恋心の試し方だろう、と

輝彦も経験上分かっていたので(笑)


「左手の薬指にリングをはめたら」と

輝彦はアイデアを出した。



「そんなの見るかなー」と友里恵は言った。


「割と、男って見てるんだよ」と、輝彦。



麻美は「じゃあ、深見さん買ってあげて」と

恐ろしい事を言う(笑)


それではまるで婚約指輪だ(笑)。




それが、友里恵の願いなのだろうか。

どこまで本気かわからない、恋愛ごっこ。


それが、いかにも少女らしくて楽しい。


「おもちゃでいいよね」と、輝彦も軽く

100円ショップのおもちゃでいいかと

友里恵に言った。


友里恵も楽しそうだ。


本物などを買ったら、かえってシラケてしまうだろう。

輝彦は軽妙洒脱にそう振る舞った。



そして、友里恵の左薬指に

結構本物っぽいおもちゃが装着された。


そういうものを見つけるのは、少女らしい才能である。


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