第8話 麻美
一応お堅い家柄だから、JKを家に
連れ込んだ、などとマスコミに
書かれ兼ねない(笑)
しかし、もし一人暮らしだったら
家に連れて行ってしまうかもしれない。
そんな風に思う。
強引に迫ったりしないところが
他のJKたちと違い、輝彦はそのあたりに好感を覚える
。
育ちがいいんだろうな。
13歳で、男に騙されたなどと
黙っていても分からないのに
そんな事を言うあたりに、少女らしい
潔癖さを思った。
それだけに、その事件が
友里恵自身には負い目なのであろうし
包括して自分を受け入れてほしい、との
願いであろう。
恋などと言うものは不条理なものだから
一時の感情、それでいいのであるが
社会が、そうしたものを規制するのは
主に、家督相続などの点で
課税対象を決める為、である。
ただ、友里恵は17歳で
親が認めれば婚姻もできる年齢だ。
その親が認めているのだから
いいのではないか、などと
輝彦は思ったりもした(笑)
そう思ってはみても、やっぱり
もう少し様子を見た方がいいかな、と
「そろそろ行かないと。」と友里恵に告げると
「ごめんね、わがまま言って」と
名残惜しそうに、踵を返した。
車に乗り込んで、輝彦は
友里恵の後ろ姿を愛おしく思った。
それゆえ、彼女が道を誤らないように、とも思う。
しかし輝彦は自問する。
いつまでも自制できるとも限らない。
信頼しきって、すべてを委ねてくる友里恵は
魅力的である。
少女は恋に恋すると、古くから言われる。
しかし、今の友里恵がその
伝承と違うのは
守護する存在を求めていると言うこと。
大人の男たちが、愛を忘れて
性的行動の対象に、彼女を目標と定めていると言う事。
そこから逃れる為、必死だと言う事。
輝彦が警察関係者だとは、友里恵は知らない筈だが。
それからの友里恵ば、輝彦が
動じない事を、どう思ったかは
分からないが
変わらず、恋する乙女の表情で
輝彦に接した。
それは、とても魅力的ではあるが
好み、を言うのは贅沢かもしれないが(笑)
輝彦は、幼い友里恵を妻、と
イメージできなかったし
友里恵が、あと何年かたって
冷静になったときに
後悔しないだろうか、と
そんな事を考えていた。
そういう友里恵のバイト仲間に
麻美、と言う
少し年上の、フリーのピアノ教師がいた。
もちろん、輝彦のバイト仲間でもある麻美は
父親が小林麻美のファンなので
麻美と名付けられたと、からから笑う
豪快な女であり
友里恵と違い、普通に打算もする女で
まあ、年齢なり、であった。
その麻美に、友里恵は
輝彦との事が進展しない事を
打ち明けた、のかもしれぬが
友里恵と麻美は、輝彦に
妙な事を打ち明けた。
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