第2話 友里恵

友里恵は、少女らしく


朗らかで、瑞々しかった。




真智子も、少し少女のような


所があったので


そのあたりに、輝彦は好意を持った。




その気持ちが伝わるのだろう、彼女たちは


柔らかな感性を以て輝彦に接した。




しかし友里恵もまた、どこかしら陰りのある少女で


打ち解けた後、しばらくたって輝彦に告げる。






「アタシね、13で家出したの。」




悪い男に引っかかって、家出させられたのだ、と言う。


学校にも行かなくなって、その男と遊び歩いていたとの


告白だった。




「こんなアタシをどう思う?」






輝彦は、過ぎた事はもういいんじゃないか、と言った。


これからを大切にすれば、と。







輝彦は、友里恵を元気づけてあげたいと


思った。




輝彦の優しさを、恋愛と捉えてしまった

少女は、恋愛に墜ちてしまったらしい。


それまでの少女の人生で、出会った事のないタイプ

だったのかもしれないし


それは、恋愛に憧れる少女らしい感情だったのかもしれない。



それで、自分を汚れてしまっている、と考え

輝彦にそれを告白したのだった。


もし、そうだとすると

それも少女らしい潔さである。


駆け引きになれた女なら、過去を隠して

初々しさを演出するだろう。



そういう事をせず、正直に過去を告げる少女を

輝彦は、愛おしいと思った。


それは、しかし恋愛ではなく

寵愛の類であると、輝彦自身は思っていた。







だが、それは本心を、分別が抑止していたのだ。


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