第14話 第2階層 吊り橋 その2
ホノカの体が完全に浮き、吊り橋から落ちる。
「ハヤト、セン……パイ……」
ホノカは遠ざかっていく吊り橋を見上げながら右手を伸ばす。
ガシッ!
「ホノカ、大丈夫かっ!!」
ハヤトは橋から身を乗り出してホノカの右手を握る。
「ハヤト先輩……」
ホノカは宙ぶらりんになりながらハヤトを見上げる。
しっかりと握り締められた右手からハヤトの温もりが伝わってくる。
「もう大丈夫だぞっ! いま引き上げてやるっ!」
ホノカを引き上げるハヤト。
「ありがとう。自分も橋から落ちるかもしれないのに……ボクを助けてくれるなんて……。やっぱりキミはボクのヒーローだよ! 『今度はボクがキミを守る!』なんて言いながらまた助けてもらっちゃったよ……」
ホノカはハヤトの胸に顔を埋める。
「なに言ってんだ。助けあうのは当然だろ。お前だって矢でみんなを助けてくれてるじゃないか」
「でも……ボクはもっとハヤト先輩の力になりたいんだ! どんな時だってキミの絶対的味方でいたいんだよ……」
「ホノカ……」
ハヤトはホノカの背中を優しくさする。
「ハヤト殿、こんな状況でイチャイチャするとは何事でゴザルか?」
「ぼ、ボクもいまは違うと思うな」
レンタロウとヨウスケがハヤトに詰め寄る。
二人とも殺気がヤバい。
「男の嫉妬は見苦しいわね。それにね、ヨウスケくん。残酷な事実だけれども、ホノカさんは小学生じゃないわよ?」
「知ってるよ、リンさん! だからボクは女子小学生が好きなんて一言もいってないよ!?」
「あらっ? ごめんなさい……勘違いしていたわ。ヨウスケくんは巨乳女子小学生じゃなくて剛毛男子小学生が好きなのね!」
「剛毛男子小学生!? なにそれっ!?」
「それはもちろん、口髭とアゴ髭をモサモサ生やした男子小学生よ? ヨウスケくんの大好物でしょう?」
「そんな小学生いないよっ!? 興味もないよっ!!」
「ヨウスケ殿……さすがに拙者も変態はちょっと……」
「レンタロウくんだけには言われたくないよ! ってかレンタロウくんのイカ墨のせいでホノカさんは橋から落ちたんだよ?」
「ギクッ! あ、あれはわざとじゃないでゴザルよっ」
「レンタロウ先輩、気にしないでくれ。誰だってミスするさ。ボクたちはチームなんだ。困ったときにはお互いに助け合おうじゃないかい!」
ホノカはニッコリと笑う。
「ホ、ホノカ殿~! 拙者、その優しさに感激でゴザル!! ダンジョンをクリアした
「ぼ、ボクは気にしてないから大丈夫だよ。サドルの件も綺麗さっぱり忘れてくれ!」
「いやっ! 拙者の忠誠心はすでにホノカ殿のもの! ホノカ殿の命令とあれば、拙者はホノカ殿のサドルや上履き、リコーダーにでもなる覚悟でゴザル!! ハァハァ!」
鼻息を荒くするレンタロウ。
「ぼ、ボクはそんなこと命令しないよ……」
「後輩を困らせるんじゃないわよっ、この変態侍!!」
「
レナに盾で殴られてレンタロウは奇声を上げる。
「レンタロウくん、やっぱりあなたはレンタロウ族に降格ね」
リンがため息をつく。
「みんな、先を急ぐぞ! 次の攻撃が来るかもしれない。早くこの吊り橋を渡りきるぞ」
ハヤトは吊り橋を進む。
みんなもハヤトに続く。
◇◆◇◆◇◆◇
「なんでこんなところに鳥居があるんだ?」
ハヤトは真っ赤な鳥居を見つめる。
吊り橋を渡り終えたハヤトたちを待っていたのは長く連なる数千の鳥居だ。
鳥居の下には上り坂が続く。
ハヤトたちは上り坂を進む。
「どんどん空気が重くなっていくでゴザル……」
レンタロウは不安げに呟く。
「ボクもそう感じるよ……どんどん敵に近づいてる。敵の気配がすごく濃い。今度の敵は強いよ……」
ホノカの頬を汗が流れる。
「それでも俺たちは進まないといけない! みんなで助け合ってこの階層をクリアするぞ!」
「もちろんだよ、ハヤト先輩! ハヤト先輩と一緒ならどんな敵だって倒せる! ボクはそう信じているんだよ」
「私もハヤトに賛成よ。次はどんな敵なのかしらっ!? 想像するだけで武者震いがするわっ!」
レナは目を輝かせて上り坂の先を見つめる。
◇◆◇◆◇◆◇
「神社? なんでジャングルに神社があるだ?」
ハヤトは首をかしげる。
上り坂を登りきるとそこには神社が一つ建っていた。
「みんな、気をつけるんだっ! あの神社の中から凄まじい気配を感じる……。敵はあの中にいるよっ!」
ホノカは弓を引いて神社の扉に狙いを定めた。
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