2章

第13話 学校

ザリ、

思わず足が後ろに下がる。砂が音を立てる。沈黙。道を見失った?そうにちがいない。実際、違っていたのだし、ここには誰もいないじゃないか。

引き返そう、そうだ、引き返さなければ。

途中から見失って勝手に迷ったんだ。きっとそうなんだ。思い込もうとして、急になんということもなかった建物の窓が不気味に思えて、後ずさる。


―なぜカナタさんは学校に?


忘れ物をした?だったらいいんだけど。すがりつくようにして背景を後にする。

なぜ

なぜ

なぜ・・・・


田舎の道のどことも知れぬ土地に迷い込んだ子猫じゃあるまい。足早に引き返す。人もいない。点々として、山が暗くて、遠すぎて寂しい場所。

しかし、そんなことよりも・・・・・・・わざと無視するようにして、走り続ける。



では、




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