第9話 定期テストと放課後と

結局僕らと彼女とはそれきり連絡がない。日常は嫌でも回ってくる学校の定期テスト期間となった。宮部さんが詳しい話を聞きたがったが、また会いましょう?と言われただけで、それはいつになるか分からない。


「ね、聞いてる?今日の本恐、絶対見てよね!」


「・・・・僕、苦手なんだって。」


図書館で勉強しようと誘われたはいいものの、相も変わらず宮部さんはスマホを触っている。そうだ、変わったことといえば、こういう「僕ら」の時間が増えつつある。

とはいえやはり、緊張は否めない。本当は人の集まりに軽く酔っている。


「いいの?・・・他の友達は?」


心配ごとの2つ目は彼女自身についてだ。友達がいるとかいってたのに、僕に構っているせいでハブられていないかが気になってつい視線を泳がせてしまう。


「んー?みんなこんなもんだよ?何、女の子ってみんな群れてるもんだって思ってんの?」


「え、別にそういうわけじゃ、」


「だいじょーぶ大丈夫、みんなここ(LINE)にいるから。みてみ?これ。」


(うっ、!)


見せられた画面に色とりどりの情報が一気に集中し、思わず片手で目を覆ってしまった。カフェのテーブルとか、店の中のライトとか、あとそれを上回る食べ物の多さ。あるいは化粧品とか、ゲーセンとか。ただ、

― aoi:潜入捜査してきた!

neko:またやってん、証拠とれたら教えて(笑)

(';'):草

その中で異彩を放ってるのが他ならぬ宮部さんだというのは一目瞭然だ。オカルティックなつぶやきにドン引きする人はいない。生暖かい視線を想像してしまう。

つまり通常運転らしい。ああ、なんだ。


なんだかほっとした。


「あーやだ!この数Ⅰの答えまた違うじゃん!この線なんてこうしたら」


「だ、駄目だよ落書きなんてしちゃ、」


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