第4話  空白

『ガキじゃあないんだからさぁ。』


体育館のなかに声が響き渡る。グサリと心臓が止まる。


『お前、迷惑だってわかってる?そういうの、いい加減に気づいてよね。何考えてんのかわかんないし。気持ち悪い。普段からひとりでフラフラしてさ、グループになったら申し訳なさそうについてこられるの、こっちが悪いみたいじゃん。周りの人と打ち解けようともしないでさ。

自分は可哀そうです、何もできないんですって、アピールしたいわけ?』


『あ・・・』

言葉がでない。


『まあせいぜい頑張りなよ。』

声たちが遠のいていく。



-------------



『そんな様じゃ、学校に来ない方が百倍マシだけどね。』



――――――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・」


最悪な目覚めを迎えてしまった。


” 気持ち悪いんだよ ”




AM7;00

日差しが窓からさしこんで、それだけがとてもあたたかくて・・・

緑のなかで、夜からないていた虫のこえが透き通っていく。セミが唸りはじめて、昨日の出来事がフラッシュバックする。




学校には向いていない。じゃあ何に向いているのかと問えば簡単につまづいてしまう。本当に、滑稽なくらい。



--------------------

午後5時。


チャイムが鳴った。世紀末かというくらい響いた。でも結局のところ、トモダチとやらはやはり、というか幸運にも、来なかった。


「ごめんね~!みんな都合が悪いって。」


放課後のいつもの噴水の場所で待ち合わせをしていた。こっそり帰ろうかと思ったけど、連絡先を知らないんだ。


「ねえ、やっぱりやめようよ。」


怖かった。


「夜勤の先生にでも見つかったら」


「怖いの?」


むしろなんで怖くないんだと言いたい。どうしてそこまで無邪気になれるのかが不思議で、思わず目を注視した。明るい目だな。眩しい。


「あのピアノは怖くなかったのに?」


「いや、夜にピアノなんて」不気味な予感しかない。


「今、行ってみない?」


人の目が気になるけど、それでもこっそりなら大丈夫かもしれない。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る