第4話 空白
『ガキじゃあないんだからさぁ。』
体育館のなかに声が響き渡る。グサリと心臓が止まる。
『お前、迷惑だってわかってる?そういうの、いい加減に気づいてよね。何考えてんのかわかんないし。気持ち悪い。普段からひとりでフラフラしてさ、グループになったら申し訳なさそうについてこられるの、こっちが悪いみたいじゃん。周りの人と打ち解けようともしないでさ。
自分は可哀そうです、何もできないんですって、アピールしたいわけ?』
『あ・・・』
言葉がでない。
『まあせいぜい頑張りなよ。』
声たちが遠のいていく。
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『そんな様じゃ、学校に来ない方が百倍マシだけどね。』
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「・・・」
最悪な目覚めを迎えてしまった。
” 気持ち悪いんだよ ”
AM7;00
日差しが窓からさしこんで、それだけがとてもあたたかくて・・・
緑のなかで、夜からないていた虫のこえが透き通っていく。セミが唸りはじめて、昨日の出来事がフラッシュバックする。
学校には向いていない。じゃあ何に向いているのかと問えば簡単につまづいてしまう。本当に、滑稽なくらい。
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午後5時。
チャイムが鳴った。世紀末かというくらい響いた。でも結局のところ、トモダチとやらはやはり、というか幸運にも、来なかった。
「ごめんね~!みんな都合が悪いって。」
放課後のいつもの噴水の場所で待ち合わせをしていた。こっそり帰ろうかと思ったけど、連絡先を知らないんだ。
「ねえ、やっぱりやめようよ。」
怖かった。
「夜勤の先生にでも見つかったら」
「怖いの?」
むしろなんで怖くないんだと言いたい。どうしてそこまで無邪気になれるのかが不思議で、思わず目を注視した。明るい目だな。眩しい。
「あのピアノは怖くなかったのに?」
「いや、夜にピアノなんて」不気味な予感しかない。
「今、行ってみない?」
人の目が気になるけど、それでもこっそりなら大丈夫かもしれない。
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