第3話 僕等の心内
2019年3月25日、はこ僕等はこの日、東北から沖縄に引っ越してきた。
俗に言う移住と言うやつだ。
仙台空港から那覇空港までおよそ3時間。
短いようで長い時間、移住へのテンションを抑えるかのようにビールを飲み、
嫁とたわいもないお喋りをして時間をつぶした。
僕は4度目、嫁は3度目の沖縄、だけど今回は往復切符では無く片道切符。
旅行ではなく移住。
僕は今まで10何回か引っ越しをしている引っ越しのベテランではあるが、今回は日本最南端の沖縄。
30代の頃、育った場所から一気に東北に北上して、東北で暮らしている間は仕事をしながら徐々に南下していく事を楽しみとしていた。
そして今回は一気にワープして、遂に近いようで遠い日本最南端の沖縄までやってきた。
引っ越しや遠くに移住するときは誰でもワクワクと不安がつきものだと思う。
新たな土地での楽しみと不安をゴッチャにしながら様々な計画を立てると思う。
それは国分寺から吉祥寺への3駅、4駅の引っ越しでも多分同じだろう。
面白い場所はあるのか?楽しい人達との出会いは?地域には馴染めるのか?新しい職場はどうなのか?などなど。。。
今回は東北から沖縄へと飛行機を使っての初めての引っ越し。
大概の人達と同じように僕等も念入りに下調べを行ってきていたら今頃は!
と思う事も特に無く、僕等はほとんど下調べをせずに沖縄に引っ越してきた。
ネットで移住者の失敗談を流し読みした程度だ。
沖縄の冬が15℃位まで気温が下がると言う事や、沖縄の長寿は過去の話で、今は寿命が段々と縮んできているという事すら知らなかったし、牧志市場の場所も知らなければ、美ら海水族館が本部町にある事さえ知らなかった。
環境は人の生活に多大な影響を与えるとは思う。
下調べをしてもしなくても人によるのだと思うが、年配の人に多いが沖縄への不満をよく口にする。
僕の関係している本土の人達は、観光客と違い仕事で来ている人が多い。
沖縄の食べ物の事(特に魚系)や、交通関係やお店のサービスの事。
仕事に対する意識の違いや、自分が以前住んいた場所を懐かしがり、
その環境を沖縄に求めてダメだしをする人も結構多い。
沖縄を楽園だと思い、来るときは周りからは羨ましがれ、本人は淡い期待を寄せて沖縄へ来ているのだろうか。。。
そんな与太話を聞いている沖縄の人達がどう思っているのかは聞いたことがないし、不満を聞くことに飽きた僕はそのような話の場は避けるように最近はしている。
不満話を聞くたびにいつも思うのだが、どうせなら悪い面より良い面を見た方が全然楽しいのではないかと僕は思う。
僕等は引っ越しや仕事環境が変わる事が多かったので、基本精神が郷に入っては郷に従えの精神を二人とも持っているつもりだ。
沖縄に移住して来て、今までの環境と結構違いがあり戸惑う事は大分あったが、
それなりに郷に従って生活や仕事をしている。
大体、他人を変える事は出来ないし、それが沖縄全部に対してとなると、どう考えても変える事は出来ない。
物事の対象に対して不満を抱えてストレスを抱え込むよりも、そんな事気にせずに今を楽しむ精神を大いに発揮したした方がストレスも少なく楽しく生きていけると思うのが僕の意見だ。
下調べもしない、沖縄について不満を語る事も無い程何も知らない僕等は、
結局の所3泊4日の観光客レベル(観光地を調べまくっている分、観光客の方が僕等より沖縄について詳しいだろう)とたいして変わらない考えを持って移住してきた。
沖縄行って海辺で夕陽を見ながらのんびりして過ごしたいだとか、暖かいから夜も気軽に外出して飲みに行けるだとか、やっと雪を見ない生活が送れるだとか、
そんな楽観的で楽しい生活を思い描いて沖縄にのこのこやってきたのだ。
そんな観光客さながら、いつもどこでも流されて生きてきている僕だが、
信条が2つだけある。
”何事にもこだわらない事にこだわる”
”考えても仕方の無いことは考えない”
と言うこの2つを信条としており、普段からこの2つを念頭に置いて生活をよく考えている。
今回の移住に関しても、この信条を持って僕は嫁に話をし、僕等は移住を考えてきた。
親を含め知人達は僕等に色々とアドバイスやら心配事を教えてくれて、よく考えるようにとありがたい話を聞かせてくれた。
これから年老いていく親の事や新しい仕事の事、沖縄での生活のことなど考えることは確かに沢山あったのかもしれない。
でも僕からすれば何年後か先の事ははわからないし、僕が近々の事しか考えられない性格なのは昔からの事なのでしょうがない。
”難しい事象を想定する事は自由だが、それが実際に起こるとは限らない。
起こらない様に日々準備をし、起こった時には淡々と対処するだけだ”
結局のところ僕と嫁にしてみれば、周りは色々言うけれど、まずは沖縄に行ってみなくちゃ何も分からないと言うのが本音であった。
酒を飲みながらの他愛も無い話の中に、移住話が出てくる事もあったが、
何かあってもどうにかなるだろうと言う楽観的な考えに最終週的にはいつも僕等は落ち着いた。
結局僕等は、沖縄の方言で言う
”なんくるないさ~”
精神満載だったのだ。
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