第144話「幼女の選択」
『……?』
どうしてそんなことを聞くんだろう?
とでも思っているのか、エマちゃんは不思議そうに小首を傾げる。
『どうかな?』
『んっ! おにい――!』
笑顔で尋ねると、エマちゃんは力強く頷いて俺だと答えようとする。
『…………』
しかしその言葉は、途中で止まってしまった。
黙り込んだエマちゃんは、チラッとシャーロットさんのほうを見る。
そして、困ったように視線を彷徨わせ始めた。
多分、これで俺の気持ちは伝わっただろう。
『答えられないよね?』
『……んっ』
エマちゃんは小さくコクリッと頷いた。
それもそうだろう。
普段の態度を見ていると勘違いされるかもしれないが、多分エマちゃんにとって俺とシャーロットさんの好き具合はほとんど変わらない。
ただ、物心ついた時から一緒にいて慣れている相手なのか、最近知り合ってよく構ってくれる相手なのかの違いだろう。
身近であればあるほど、有難みは薄れてしまいやすいしな。
ましてや、シャーロットさんはエマちゃんが立派に育つように、たまには注意をしたりもするので、それをしない俺のほうに甘えてきているだけだ。
しかし心の中では、エマちゃんはシャーロットさんのことも大好きだ。
それは本人も言っていたので、間違いはないだろう。
だからこそ、選べないのだ。
こういう比較の時、選ばれなかったほうを傷つけることになるというのは、賢いエマちゃんはわかっている。
普通に考えて、好きな相手を傷つけたくはないだろう。
『意地悪な質問をしてごめんね?』
俺は腕の中にいるエマちゃんの頭を優しく撫でる。
本人に理解をしてもらうためとはいえ、困らせてしまったことはやはり胸が痛かった。
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【あとがき】
ついに、5月17日に
『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』
のコミカライズが開始されます!!
ぺんたごん先生が描いてくださる漫画はとても最高ですので、
是非是非読んで頂けますと幸いです♪
ニコニコ漫画様の「まったりダッシュエックス」にて読むことができるそうです(*´▽`*)
アニメ化目指してこれからも頑張りますので、
応援をして頂けますと幸いです♪
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