第145話「みんななかよし」

『んっ……♪』


 エマちゃんは気にしていないようで、嬉しそうにまた頭を撫でられてくれる。

 相変わらず天使のような笑顔に、俺は心が和んでしまう。


 しかし――シャーロットさんは、そうじゃないらしい。


『ごめんね、エマ……?』


 幼い妹のことを第一に考えてきた彼女は、やはり妹を我慢させる状況に胸が痛んだようだ。

 申し訳なさそうに謝ってしまった。


 声を掛けられたエマちゃんは、チラッとシャーロットさんの顔を見上げる。


 それによって、自分が姉にどういう顔をさせているか気が付いたのだろう。


 エマちゃんはすぐに視線を俺に戻し、何かを考える素振りを見せる。


 そして――

『んっ、みんななかよし……! ロッティーもおにいちゃんも、なかよし……!』

 ――とてもかわいい笑顔で、シャーロットさんにそうアピールした。


 多分、怒ってないよっていうアピールと、俺とシャーロットさんが仲良くするのもいいよ、みたいなことが言いたかったんだと思う。


『エマ……』


 妹の気遣いによってか、それとも妹の成長を感じてなのかはわからないけど、シャーロットさんは口元を両手でおおいながら目の端に涙を浮かべる。


 うん、やっぱり仲良しな姉妹だ。


『起きてる時は、エマちゃんが一番だからね?』


 優先という言葉はわからないかもしれないと思い、俺は別の言葉でエマちゃんを優先するということを伝える。


『んっ……!』


 それで満足だと思ってくれたのか、エマちゃんは大きく頷いた。


『よかったです……』


 シャーロットさんも嬉しそうに俺のほうを見てくる。

 甘えたがりの彼女は、二人きりで甘える時間をなくしたくなかっただろうし、かといって妹に嫌われるなどもっと嫌なはずで、ちゃんと話がまとまってよかった。


 そうしていると――《ぐうぅ……》っと、かわいらしいお腹の音が聞こえてきた。

 音が聞こえるほうに視線を向けると、エマちゃんがお腹を手で押さえながら悲しそうな表情を浮かべる。


『……おなか、すいた……』


 朝起きてから俺たちの部屋に来たエマちゃんは、何も食べてなかったんだろう。

 俺とシャーロットさんはお互いの顔を見てしまい、思わず笑みがこぼれてしまった。


『それじゃあ、すぐに朝ご飯を作るね』

『エマちゃん、いこっか』


 シャーロットさんは笑顔で立ち上がり、俺もエマちゃんを抱っこすると、三人仲良くリビングに向かうのだった。


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【あとがき】


読んで頂き、ありがとうございます(*´▽`*)

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