第142話「気を許せるからこそ」

『エマちゃん、挨拶出来て偉いね』


 まずは拗ねているのを直すため、頭を撫でて褒める。


『んっ……!』


 撫でられるのと褒められるのが大好きなエマちゃんは、瞬く間にご機嫌へと戻った。

 完了である。


「相変わらず、私と明人君に対する態度が違いすぎます……」


 俺とエマちゃんのやりとりを見ていたシャーロットさんは、エマちゃんに聞き取られないよう日本語で呟いた。

 まぁ本人からすれば納得いかないんだろう。


 というか、出会った頃のエマちゃんは、目を覚ました時にシャーロットさんがいないと泣いて探し出すような、お姉ちゃんっ子だった。

 それなのに、今は……随分と、姉離れが進んでいる気がする。

 その代わり、兄依存になっている気はするのだけど。


「シャーロットさんには心を開いているから、エマちゃんも気軽に怒ったりできるんだよ。一種の信頼じゃないかな?」


 赤の他人と接する時と比較すればわかりやすいけど、初対面の相手だったり、気を遣わないといけないような相手だと、怒りを覚えても顔に出したりしないと思う。

 当然、凄く嫌いな相手や、《この人とはどんな関係になってもいいや》、と思ってしまうような相手なら、遠慮なく怒ったりもするだろうけど、さすがに親しい相手となると違うはずだ。


 そんな中で素直に感情を見せられる相手は、それだけ心を許しているんだと思う。


 俺だって、エマちゃんが拗ねた時は膨らませた頬を向けられる時はあるのだし。


「そうかもしれませんね」


 俺の言ったことを信じてくれたらしく、シャーロットさんは笑顔で頷く。

 もう今更、エマちゃんに嫌われているとか思うことはないのだろう。


 問題は、こっちだ。


『エマちゃん、シャーロットさんはエマちゃんに意地悪をして、除け者にしているわけじゃないんだよ?』


 今後、俺とシャーロットさんだけで寝ることは増えてくるかもしれない。

 そのたびにエマちゃんが怒ってしまうと、シャーロットさんが悲しんでしまうので、説得を試みることにした。


=======================

【あとがき】


読んで頂き、ありがとうございます(*´▽`*)


書籍版では、

体育祭や球技大会(サッカーで彰との勝負があったり)、

聖夜(結構ガッツリと描写)があったりするので、

是非是非よろしくお願い致します(≧▽≦)


(くっついてからは、かなりの甘々になってます)


7巻の発売も決定しています(≧◇≦)


これからも是非、楽しんで頂けますと幸いです♪



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