第141話「単純でかわいい幼女」
俺とシャーロットさんは、ドアが開いた瞬間に反射的に距離を取った。
それによってくっついていたところはエマちゃんに見られなかったのだけど、部屋の中に入ってきたエマちゃんはタタタッとベッドまで駆け寄ってくる。
『ロッティー、おにいちゃんひとりじめ、だめ……!』
どうやら、シャーロットさんがエマちゃんをまた除け者にしたと思っているようだ。
実際は除け者にしようとしたわけではないのだけど、エマちゃんからしたらそう見えてもおかしくはない。
ただ、シャーロットさんは恋人なので、その辺は許してあげてほしいと思った。
彼女だって、二人きりで甘えたい時はあるのだから。
まぁ、シャーロットさんと俺が恋人ってなると、意外と独占欲の強いエマちゃんがまたムキになりそうなので、まだ伝えてはいないのだけど。
『エマちゃん、おいで』
プンプンッと一生懸命怒っているエマちゃんに対して、俺は両手を伸ばす。
それにより、エマちゃんの表情は瞬く間に変わり、嬉しそうに両手を広げてきた。
本当に、この子は単純すぎるんだよな。
そこがとてもかわいい部分でもあるのだけど。
「エマちゃん、おはよう」
エマちゃんを抱っこした俺は、膝の上に載せて優しくエマちゃんの頭を撫でる。
その際にしたのは、日本語での挨拶だ。
エマちゃんが早く日本語へ馴染むように、日本語での挨拶は継続している。
「おはよう……!」
俺の挨拶に対し、エマちゃんは元気よく日本語で挨拶を返してくれた。
毎日している介もあって、挨拶くらいならかなりスムーズに言えるようになっている。
元々ソフィアさんやシャーロットさんは日本語を話すのが上手なので、このままいけばエマちゃんも普通に日本語で話せるようになるだろう。
「エマ、おはよう」
俺たちが挨拶をしているのを見て、シャーロットさんも笑顔でエマちゃんに挨拶をした。
しかし、シャーロットさんに視線を向けたエマちゃんの表情は、とても不満そうで拗ねたものになっている。
まだ機嫌は直らないようだ。
だけど――。
「……おはよう」
ふてぶてしくはあっても、ちゃんと挨拶を返すことはできた。
怒っている相手にも挨拶を返すことができるのは、人間性が出る部分だろう。
幼くても段々と大人になっていっているのがわかり、俺は嬉しかった。
さて、後は俺が間に入って仲を取り持たないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます