第138話「出来心」

「甘えん坊のシャーロットさんも、俺は大好きだよ?」


 意地悪と言われたことがよくわからなかったので、シャーロットさんの耳に口を近付けて思っていることを囁いてみた。


「ひゃっ!?」


 耳が弱い彼女は、その刺激に耐えられなかったらしい。

 勢いよく体を跳ねさせて、顔を真っ赤にしながら俺の顔を見つめてきた。

 その瞳は、なぜか熱っぽく潤っている。


「そうやって、すぐ私をいじめるんですから……」

「いじめてないよね……?」

「辱めて、楽しんでいます……」


 なるほど、わざと恥をかかせていると思われていたのか。

 囁いたのは確かに出来心があったけど――言っている言葉は、別に彼女を辱める目的があるわけじゃない。


「わざと辱めているわけじゃないよ? 俺はシャーロットさんに甘えてもらえるのが、嬉しいんだから。それは本心だよ」

「…………」


 再度思っていることを伝えると、シャーロットさんは疑うようにジト目を向けてきた。

 いちいち反応がかわいいのがずるい。


「そんな目をするなら――ふぅ」


 楽しくなってしまい、わざとシャーロットさんの耳に息をかけると――

「ひゃぁああああ!」

 ――彼女の口から、聞いたことがないレベルの悲鳴が上がった。


 ちょっと、やりすぎてしまったかもしれない……。


「ごめん、そんなに耳が弱いんだね……」

「わかってましたよね!? わかっててやりましたよね!?」


 思った以上に反応が激しかったので謝ると、シャーロットさんは耳を手で押さえながら涙目で俺の顔を見てきた。

 その顔は相変わらず真っ赤で、テンパっているように見える。


「弱いのは知ってたけど、そこまで弱いとは……」

「どうして、息を吹きかけてきたんですか……!?」

「シャーロットさんの反応がかわいくて、もっとかわいい反応が見たくなりました……」


 シャーロットさんの質問に俺は、思わず敬語を使いながら正直に答えた。


 彼女の反応があまりにもかわいいから、出来心でやってしまったのだ。

 そのことはシャーロットさんにも伝わり、彼女はそっぽを向いてしまう。


「明人君、やっぱりSです……ドSです……。きっと、そういうことをするようになったら――私を鳴かせて、楽しむんですね……」


 シャーロットさんは真っ赤にした顔のまま、何やらブツブツと呟いている。


 怒っているんだろうか……?

 さすがに、やりすぎたもんな……。


「ごめんね、シャーロットさん……?」

「……仕方がありません、明人君だって男の子ですもの……。私は、されるがままになるだけなんですから……」

「……?」


 俺の目を見てくれたシャーロットさんは、怒っている様子はなく――なぜか、熱っぽい瞳に戻っていた。

 まだ何か呟いていたようだけど、何を呟いたんだろ……?



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【あとがき】


読んで頂き、ありがとうございます(*´▽`*)


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』

ですが、

3月25日に第6巻が発売します!


その口絵を近況ノートで公開しているのですが――とてもかわいいだけでなく、

刺激的なイラストなので是非見て頂けますと幸いです♪


WEB版と書籍版では展開が大分違い、

1、2巻はオリジナル要素・書き下ろし満載、

3~6巻はほぼ書き下ろしですので、

既にWEB版をお読みの方にも楽しんで頂けると思います♪


また、第6巻では刺激的でおそらくWEBで書くのは難しい…という話がありますので、

是非この機会にお手に取って頂けますと幸いです(≧◇≦)


以下、口絵を公開しています近況ノートです…!

https://kakuyomu.jp/users/Nekokuro2424/news/16818093073562439289


これからも是非、楽しんで頂けますと幸いです♪

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