第128話「ジト目の彼女」
「そんなに慌てなくても大丈夫だからね?」
俺は優しくシャーロットさんの頭を撫でる。
姉になる人と彼女の母親を前にして、これは凄く恥ずかしいけれど、シャーロットさんがあまりにも動揺しているので可哀想なのだ。
「んっ……」
シャーロットさんは、涙目で俺におとなしく撫でられる。
よほど花音さんと同棲されるのは嫌だったようだ。
「さすが、堂々と大勢の前でいちゃついて、世界に発信されただけはありますね」
「まぁ本人たちが幸せなら、いいんじゃないかな?」
うん、二人はすっごく温かい目で見てきてるけど。
後で思い出したら、穴に入りたい気分になるだろうな……。
「えっと、シャーロットさんのお母さんはどう思っているんでしょうか?」
「そんなよそよそしい呼び方じゃなくて、ソフィアでいいよ」
お姉さんは、ソフィアさんというらしい。
なにげに初めて名前を聞いたな。
「というか、お姉さんでも、お母さんでもいいけど?」
「お姉さんは私が嫌なのでやめてください」
ニコッと笑みを浮かべたソフィアさんに対し、シャーロットさんがジト目を向ける。
まぁ自分の母親が、彼氏からお姉さんと呼ばれるのは嫌だろうな。
「ロッティーたら、自分が若いからって酷いと思うわ」
「そういうのではないから」
拗ね顔のソフィアさんに対し、シャーロットさんは塩対応をする。
彼女の塩対応なんて、初めて見た気がする。
「ソフィアさんって呼ばせて頂きますね」
昔みたいにお姉さんと呼ぶのもいいかもしれないけれど、シャーロットさんが嫌そうなのでやめておいた。
お母さん、というのは俺がちょっとあれなので、遠慮しておく。
「うん、それでいいよ。それと、私も二人が一緒に暮らすのは賛成だよ。私は明人君との約束を果たせるし、イギリスに戻ったりもしないといけないから、明人君や花音ちゃんがロッティーやエマのことを見ててくれると、安心できるからね」
ソフィアさんは社長ということで、本社はイギリスにあるみたいだ。
日本にはあくまで一時期的に来ているだけで、イギリスにも戻ったりしないといけないのだろう。
もしかしたら今も、イギリスと日本を行ったり来たりしているのかもしれない。
「ということで、後は明人の意思次第です。エマちゃんには聞かなくてもわかりますしね」
エマちゃんは、多分一緒に暮らそうと言えば喜んでくれるだろう。
あの子がどれだけ懐いてくれているかは、さすがにわかっている。
そして、シャーロットさんも一緒に暮らすのを望んでくれているのだ。
だから、俺の答えはもう決まっていた。
「では、お言葉に甘えさせてください」
こうして、俺とシャーロットさんは、一緒に暮らすことになったのだった。
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【あとがき】
いつも読んで頂き、ありがとうございます(≧◇≦)
新作
『天真爛漫な学校のアイドルが同居している俺の従妹な件』
を連載開始しました!
無邪気で天真爛漫なヒロインとナチュラルにいちゃついたり、
甘い同居生活をするじれ甘ラブコメを
是非是非、読んで頂けますと幸いです(#^^#)
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