第48話

 あ……

 つい言ってしまった……


「恋人になった? お前と陽愛ちゃんが?」


 もう隠すのはなしって陽愛と約束した。

 だから隠さず言おう。

 それに斗真ならたとえ言ったとしても他人にいいふらすような真似はしない。

 それは親友である俺が分かっている。

 だから俺は首を縦に振って答えた。


「何時から付き合い始めたんだ?」


 斗真からの質問に俺は答える。

 あの日、陽愛が俺の部屋に来た事。

 そして突然告白されたこと。

 全て話した。


「なんだよ。めちゃくちゃ前から付き合ってたのかよ。なんで俺に言わねんだよ」


 やはり、俺の予想通り斗真は何で言ってこなかったのかと聞いて来た。

 確かに斗真なら誰にも言わないことは分かっている。なら行ってもよかったかもしてない。

 でも、少しあの関係が特別感がして良かったんだ。

 誰にも言わずに二人だけの秘密の関係が。


「陽愛と話しあって決めてたんだよ。それに、陽愛と付き合っているなんてことが広がったら学校中の男子から嫉妬の目でみられたり反感を買うだろ?」


 俺がそう言うと斗真は笑った。


「まぁそうだな。確かにお前の命いつなくなるか分からないな」


 それを笑顔で言ってくるから怖い……


「でもよ。俺には言えよな。他人に言ったりなんかしねぇし。それにお前が陽愛ちゃんの事好きなのも、陽愛ちゃんがお前の事好きなのも知ってたし」

「は!?」


 俺が陽愛の事を好きなのは斗真はとうの昔に知られていた。

 けれど陽愛が俺の事を好きなことまで知っているとは思ってもいなかった。


「あー、お前には言ってなかったな。高校に入るくらいから陽愛ちゃんにお前の事好きなのか聞いてみたんだよ。前々からなんとなく察してたからな。そしたら急に顔が真っ赤になって挙動不審になり始めて『ど、どうしてそんなこと聞くの!? 何で私が蒼汰を好きな事知ってるの!? あ、言っちゃった‼』って一人で騒いでたよ」


 斗真からそれを聞き、安易に想像がついた。

 それにしても俺の彼女可愛すぎ。


「なんで早く俺に言ってくれなかったんだよ」


 斗真がもっと早くそのことを言ってくれていれば俺はもっと早く陽愛と恋人になることができていたはずだ。


「言う訳ないだろ。自分から勇気を出して告白して付き合ってこそだろ? それにお互い様だ。お前だって陽愛ちゃんと付き合っていること隠してただろ?」

「それはそうだけど……」

「な? お互い様だ。それよりもゲームしね?」


 そう言って斗真は持っていたカバンからゲーム機を取り出した。

 

「まぁ、良いけど」


 こうして斗真と遊ぶのも久しぶりだ。

 陽愛と付き合うまではもっと遊んでいたが、陽愛と付き合い始めて色々な場所に陽愛といってるからどうしても斗真と遊ぶ時間が減ってしまう。

 斗真の様子を見る限り、今日は夜までコースだな。

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