第47話

『ピンポーン!』


「ん、ん~~」


『ピンポーン! ピンポーン!』


「ん~、なんだよ」


 俺はまだ眠い目を擦りながら上半身を起こす。

 壁に掛けられている時計を見ると朝の七時半。

 そんな時間に俺の家に呼び鈴を鳴らしてくるのは陽愛しかいない。

 俺はベッドから起き上がり玄関のドアを開けた。


「よお」


 ドアを開けると目の前には可愛い陽愛の姿じゃなくて親友の斗真が立っていた。

 斗真は当たり前のように部屋に入って来た。

 そしてベッドに座った。

 別に斗真だからそんなことをされてもなんとも思わない。

 

「どうしたんだよ。こんな朝早くに急に」

「いや~、なんとなく」

「なんとなくって……」


 俺はとりあえず腰を下ろす。


「いや、最近お前と会ってなかったからさ、なんか昨日の夜に急に話したくなって」

「だからってこんな朝早く来る必要ないだろ」


 会って話すならこんな朝早くに家に来る必要はない。

 それに、斗真なら知っていると思うが、休みの日俺はこの時間は眠っている。なのにこの時間を選んで来るのは分からなかった。


「俺は思い立ったら直ぐ行動するタイプだからな」


 確かに斗真はあれやこれがしたいと思ったら直ぐに行動するタイプの奴だ。

 中学の頃も今日と同じように、俺の家にやって来て今から出かけるぞと言ってゲームセンターに行ったり、見たい映画があるから一緒に行くぞと言ってきたりした。

 一番驚いたのは、彼女が欲しいと思った斗真が直ぐに彼女を作って来たことだ。

 それも隣のクラスの少し明るめの髪の色をしたボブの可愛い女の子。

 これだからイケメンは……


「で? 何か話したい話題でもあるのか?」


 俺は一度立ち上がって、俺と斗真の分のお茶をコップに注ぎ、机の上に置いた。

 斗真はお茶を半分飲み、口を開いた。


「ぶっちゃけさ。蒼汰って陽愛ちゃんの事どう思う?」


 斗真からそんな事を聞かれるとは思っていなかった。

 陽愛の事をどう思うか……


「そんなの、たった一人の凄く大切な人に決まってるだろ。昔からの幼馴染で、俺の好きな、大好きな人」


 俺がそう答えると、斗真は笑みを浮かべた。

 俺は知ってる。斗真がこの表情を浮かべるときは大抵自分の思い通りになった時や、思い通りの答えが返って来た時の表情だ。

 斗真は最初からその言葉を俺に言わせるために質問してきたんだろう。


「おい、まさかこのことが聞きたいだけのためにこんな朝早くに来たわけじゃないだろうな」

「そうだけど?」

「そんな当たり前のように言うなよ……」

「それともう一つ聞きたいんだよ。最近陽愛ちゃんがお前を夏祭りに誘ったり海に誘ったりしてるそうだけど、どうして急に誘い始めたと思う?」

「どうしてって、恋人になったからじゃねぇの?」

「……………………………………………………は?」

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