第41話

「ん~~! 冷たくて美味し~」


 陽愛は片手にソフトクリームを持ち、もう片方を頬に当て言った。

 俺達は一時間ほど海で持ってきたビーチボールなどを使って遊んだりした後、休憩として海水浴場にある売店でソフトクリームを買い、売店の前に設置されているベンチに座った。

 俺はパイナップル味。陽愛はマンゴー味のソフトクリームを購入した。

 どちらも夏が旬フルーツだ。

 俺も一口ソフトクリームを食べる。

 ここに来た時はそこまで暑くはなかったが、時間が経ち今は太陽の日差しが結構きつい。

そんな中食べるソフトクリームは最高だ。勿論味も最高。

 しかも隣には水着姿の陽愛もいる。こんな最高な事は中々ない。

 とは言っても、陽愛は日焼け止めを塗っているけれどそれでも日焼けをするのが心配なようで上着を上から羽織ものを着ている。

 

「ねぇ、蒼汰。一口交換しよ?」


 そう言って陽愛はマンゴー味のソフトクリームを目の前に持ってきた。

 

「溶けちゃうから早く、早く」

「あ、うん」

 

 そう言って俺が一口食べると、はっきりとしたマンゴーの味が口全体に広がった。

 

「うん。美味しい」

「ね~、美味しいよね~。じゃあ次は蒼汰の頂戴」


 陽愛からそう言われて、俺は陽愛の口元にソフトクリームを持っていく。

 陽愛は「あーん」と言って食べた。

 

「ん~~! パイナップル味も美味しいね!」


 美味しいものを食べた陽愛は本当に幸せそうな表情をする。凄く可愛い。

 そういえば忘れていたことがあったと俺は立ち上がった。


「どうしたの?」

「いや、飲み物も買ってこないとと思ってさ。陽愛は何が良い?」


 アイスクリームを食べれば一時的な涼しさを味わうことはできるとは思うが、水分はしっかりと取らないといけない。

 海に入っていれば汗をかいているという自覚が少なくなる。この暑さなら熱中症になってもおかしくない。

 せっかくの陽愛との海デートの日に俺か陽愛、もしくは二人ともが熱中症になってしまうのは避けたい。

 

「う~ん。じゃあパイナップルジュースにしようかな。さっき蒼汰の食べたら美味しくて」

「うん。分かった」


 そう言って俺は売店に入り、パイナップルジュースと俺はマンゴージュース。お互いのソフトクリームの味のジュースを買った。

 ジュースの底には一口サイズの果実が幾つか入っている。

 

「お待たせ」


 そう言って陽愛にジュースを渡すと、陽愛は「ありがと」と言って受け取った。

 陽愛は足をゆっくりと揺らしながらジュースを飲んだ。

 美味しいかどうかは陽愛の顔を見れば一目瞭然だ。

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