第40話
目の前に広がる透き通った綺麗なエメラルドグリーンの海。
私は潮風に当たりながらそれを見つめる。
凄く綺麗な海に私は見惚れてしまった。
隣に居る蒼汰も、私と一緒で海を見つめる。
「んっ!」
急な強風で私の着ているロングワンピースがめくれて下着が見えてしまいそうになった。
家で蒼汰だけならまだしも、こんな人が沢山いる場所で下着なんて見せたら流石に恥ずかしい。
私は直ぐにワンピースを押さえる。
「風結構強いね」
「そうだね。そろそろ更衣室に行こっか」
私は首を縦に振って蒼汰の隣を歩き更衣室へと向かう。
蒼汰は男子更衣室へ、私は女子更衣室へとそれぞれ入る。
今日のために新しく買った水着を取り出す。
「だ、大丈夫! お母さんにも似合うって言われたし、布面積もちゃんとある」
私は、結局お母さんと二人で買いに行ったフレアビキニを見つめながらそう呟く。
やはりお母さんは布面積の少ない水着を進めてきたけれど、このフレアビキニじゃないとイヤだと何度も言って、お母さんにフレアビキニの中で一番似合うものを選んでもらった。
私はロングワンピースを脱いで水着に着替える。
「う、うぅ~」
けれど実際に着て、今から蒼汰に見せるとなると、私の心臓はバクバクと脈打つ。
やっぱり蒼汰はもっと肌の露出が高い水着の方が良いのかな?
でも恥ずかしいんだもん……
「あぁ~、どうしよ~」
早く出て行かないと蒼汰を待たせてしまうけど、まだ心の準備ができていない。
やはりまだ羞恥心がある。
けれど待たせるのもいけない。
「ま、まだ裸じゃないんだから良いじゃない! ちょっと肌が見える服を着てるって思えばいいの! 大丈夫。恥ずかしくないから」
私は右手を胸に当て、深呼吸する。
そして、心を落ち着かせて更衣室を出た。
すると、海の方を眺めている蒼汰の姿があった。
私はもう一度深呼吸をして、両手を後ろで組んだ。
「お、おまたせ蒼汰……」
私がそう言うと、当たり前だけど蒼汰は振り返って私のことを見る。
「ど、どう……かな?」
お願い、どうか似合ってて……
私は祈るように蒼汰の応えを待つ。
「に、似合ってる! 凄く似合ってて凄く可愛い!」
「よ、良かった~」
私は安心してほっと胸を撫でおろした。
似合うか少し心配していたけど、蒼汰から似合ってるって言われて良かった。
けど、さっきから蒼汰の視線が……さ、流石に恥ずかしい…………
「そ、そんなジロジロ見ないでよ…………えっち」
私は決して大きくはない胸を両手で隠しながらそう言った。
だ、だってさっきから蒼汰の視線は間違いなく胸に……
「ご、ごめん」
蒼汰はそう言って後ろを振り返ってしまった。
「べ、別に見ちゃダメって言ったわけじゃ……ねぇ、見てよ!」
私は見ちゃいけないとは一言も言っていない。恥ずかしいけど……
「ど、どっちだよ」
「ジロジロ見てこなければ恥ずかしくないから……」
「わ、分かったよ」
せっかく勇気を出して水着を着たんだから見てほしい。
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