第39話
最寄りの駅から約一時間の場所にある海水浴場は、沢山の人々で賑わっていた。
綺麗な雲一つない青空に透き通った海。そして俺の隣で白色のロングワンピースを風に靡かせている陽愛。最高の眺めだ。
陽愛は普段結んでいない綺麗な髪をポニーテールにしており、普段と違った新鮮な感じだ。
「結構風強いね」
陽愛は強風がふくと同時にそう言ってワンピースを押さえる。
こんなところでワンピースが風でめくれたら流石にまずい。
「そうだね。そろそろ更衣室に行こっか」
ここの海水浴場には結構広い更衣室が設置されている。
俺と陽愛はそれぞれ更衣室へと向かい、着替え終えたらもう一度合流することにした。
俺は直ぐに水着に着替え、更衣室の前で待っていた。
男である俺と違って女である陽愛はやはり時間がかかってしまう。それは仕方がない。
けれどもうかれこれ十分くらい待っているが、女の子が水着に着替えるのってこんなに大変なの? 絶対遅いよね?
俺はもう陽愛は着替え終えてどこか違う場所で待っているのではないかと周りを見渡す。
けれど陽愛の姿はどこにもない。やはりまだ更衣室の中に居るに違いない。
けれどそれを確認することはできない。もし確認したら俺は警察のお世話になってしまう。
そんなことは流石にしないけど。
「お、おまたせ蒼汰……」
そう思った瞬間、陽愛は俺の名前を可愛らしい声で呼んだ。
俺が陽愛の方を向くと、そこには太陽の光に照らされた、スカートのような水着、フレアビキニを着た陽愛が両手を後ろで組んで立っていた。
小さい頃は初恋の幼馴染として見てきたが、恋人として見る初めての陽愛の水着姿は俺の心臓の鼓動を加速させる。陽愛から告白された時と同じくらい鼓動が早い。
「ど、どう……かな?」
陽愛は綺麗で細く真っ白な体をもじもじとさせながらそう聞いてくる。
「に、似合ってる! 凄く似合ってて凄く可愛い!」
可愛くないわけがない。
夏にしか見られない陽愛の姿を目に焼き付けておかなければ。
陽愛は「良かった!」と言ってほっと胸を撫でおろした。
どうやら似合うか心配だったらしいが、陽愛ならどんな水着を着ても絶対に似合うし可愛いと思う。
そんなに心配することないのをそろそろ気づかないかな?
「そ、そんなジロジロ見ないでよ…………えっち」
「ご、ごめん」
陽愛は両手で胸を隠しそう言った。そして俺は陽愛から視線を逸らして海を眺める。
なんだこの可愛い生き物は!?
て、ていうか陽愛……結構胸あるんだな…………
「べ、別に見ちゃダメって言ったわけじゃ……ねぇ、見てよ!」
まだ海の方を向く俺に、陽愛は少し不機嫌そうな声色でそう言った。
「ど、どっちだよ」
「ジロジロ見てこなければ恥ずかしくないから……」
「わ、分かったよ」
やはり陽愛の水着姿は最高だ。
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