第36話

「それで? 何するんだ?」

「何するって、ただ話したかっただけだよ?」


 私が蒼汰のお家に来た理由は蒼汰と一緒に居たいのとお話したい以外に理由はない。

 さっき私が蒼汰にした行動は物凄く恥ずかしくて少し後悔してるけど……

 ま、まぁ……蒼汰の可愛い表情が見れたから良っか。

 私は一度立ち上がって座り直す。勿論ベッドの上に。

 こうして蒼汰のベッドに座ると、私が告白した日の事を思い出す。

 凄く居心地が良い。


「そういえば、陽愛って夏休み中に友達との約束はないのか?」

「え? まだ特に無いけど、急に誘われる可能性もあるよ。急にどうしたの?」

「いや、だって陽愛くらい可愛ければいろんな人から遊びに誘われるかと思って。もし俺以外にも沢山遊ぶ約束があるなら大変だと思って」

「だ、大丈夫だよ! 蒼汰を一番に優先するから!」

「別に優先する必要はないよ。友達も大切だし。陽愛が楽しそうと思う方を優先すれば」


 蒼汰は分かってくれない。

 蒼汰と一緒に居るよりも楽しくて幸せな時間は他にないのに……

 本当に、何で分かってくれないの!

 そう思う私だけど、自分自身が凄く面倒くさい女になってしまっていないかも少し心配。

 私の中で一番嫌で耐えられないのは、蒼汰から嫌われること。次に蒼汰と別れること。

 

「うん! 蒼汰を優先するね」

「話聞いてた!?」

「勿論聞いてたよ。ちゃんと聞いて理解してそう言ったの」

「意味が分からない」

「むぅ~。蒼汰のば~か!」


 私は頬を膨らませて怒る。お母さんもバカだけど、蒼汰も同じくらいバカ!

 これだけ言って分かってくれないなら怒っても良いと思うの。

 

「ば、バカって……少なくても陽愛よりかはバカじゃないわ!」


 確かに蒼汰と私だと私の方がバカだけど……だけど今は蒼汰の方がバカだと思うの。

 

「ふんっ、だ!」


 私はそっぽを向いて反抗した。

 少し考えたら分かると思うんだけど……


「分かったよ、ごめん。俺が悪かったから機嫌直してくれ」


 蒼汰はそう言って冷蔵庫を開け、プリンを取り出した。


「ほら、陽愛の好きなプリンあげるから」


 そう言って蒼汰は私にプリンとスプーンを渡してきた。

 

「しょ、しょうがないから許してあげる」


 自分で言うのもなんだけど、凄く単純だと思う。

 さっきカフェであれだけ美味しくて甘いデザートを食べておいて、まだ甘いものでつられて許してしまう。

 どうせ蒼汰も心の中ではちょろくて単純な女と思ってるんだろうけど、目の前に置かれたプリンには勝てない。だって間違いなく美味しいんだもん!

 私は両手を胸の前で合わせ「いただきます!」と言ってプリンを一口食べる。

 

「ん~~‼」


 うん! やっぱり美味しい。

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