海と美少女と水着
第31話
「起きて! ねぇ、起きてよ!」
「ん、ん~~」
「やっと起きた。もう七時だから目覚まして」
俺は陽愛から勢いよく体を揺らされて目を覚ました。
「………………」
けれど俺は陽愛の言葉を聞いて再び目を閉じた。
すると予想はしていたが、やはり陽愛は「なんでまた目瞑るの! 起きてってば~」と言いながら再び勢いよく揺らしてきた。
「だってまだ七時なんだろ?」
「そうだよ。七時だよ」
「休みの日に七時に起きるなんて早すぎでしょ」
俺が休日に起きる時間は大抵十時くらいだ。
それに比べれば七時なんて早すぎる。それにまだ眠い……
「も~、起きないならこうだ!」
「うっ! 痛っ‼」
陽愛は俺の上にジャンプして乗っかってきた。
陽愛の体重は多分そこまで重くないだろうから、普通に乗っかって来る分には大丈夫だろうけど、ジャンプをされたら痛いに決まっている。
「起きるまで乗っかってるからねっ!」
「わ、分かったよ! 起きる、起きるから退いて!」
俺がそう陽愛にお願いすると同時に部屋のドアが開いた。
「陽愛~、朝食は何が……良い…………?」
この出来事で俺の眠気は一気に吹き飛んだ。
俺たちからしたら陽愛が俺を起こすためにした行為でも、陽愛のお義母さんからしたらそんな事は分からない。分かるとすれば陽愛が俺の上に乗っかっている状況という事だけだ。
「ちょ、違うのお母さん! これには事情が――――」
「お邪魔してごめんね」
陽愛が言い終える前にお義母さんはそう言って部屋から出て行った。
「ちょっと、蒼汰! 蒼汰がちゃんと起きないからお母さんに誤解されたかもしれないじゃない!」
「そんな……俺のせいにされても…………」
確かに起きなかった俺も悪いかもしれないが、乗っかって来たのは陽愛だ。
「と、とにかく! 早くリビングに行ってお母さんの誤解を解かないと」
そう言って陽愛は俺の事を無理やり起こした。
俺もさっきの出来事で眠気は覚めているのでもう一度目を瞑ることはなかった。
俺と陽愛がリビングに向かうとお義母さんはキッチンで朝食を作っていた。
「お、お母さん! さっきのは蒼汰を起こそうとしてただけで、別に変な事してたわけじゃないから!」
陽愛は恥ずかしそうにさっきの出来事の誤解を解こうとする。
お義母さんはそんな陽愛を見て急に笑い始めた。
「な、何で笑うの⁉」
「だ、だって。陽愛がそんな必死に言うもんだからつい」
お義母さんは少しして笑い終えると「ごめんね、さっきのはちょっと揶揄っただけよ」と言った。
「もう! 次揶揄ったら本当に怒るからね!」
笑顔のお義母さんとは真逆で陽愛は揶揄われたことに怒っていた。
「もう怒ってるじゃん……」
俺が隣でぽそっと呟いたら、陽愛から「蒼汰は黙ってて!」と怒られた。
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