可愛い幼馴染が彼女じゃダメですか？

第7話

「ただいま」

　陽愛の家からアパートに帰って来た。

　ただいまと言っても誰もお帰りと返してくれないのは知っているのに、つい言ってしまう。陽愛から可愛らしい笑顔と可愛い声で「おかえり」って言われたいと思いながら部屋に入る。

　さっきまで陽愛と一緒に居たからか、この誰も居ない空間がどこか寂しい。

　もう一人暮らしを始めて結構経つし、慣れてきたと思ったんだけどな。

　陽愛との関係が幼馴染ってだけじゃなく、恋人も追加されてより一緒に居たいという思いが強くなったのか？

　なんにせよ、陽愛ともっと一緒に居たいと思った。

「ん？」

　俺がベッドに横になり、スマホの画面を確認すると、一件の連絡が来ていた。

　俺は連絡相手を確認する。俺はあまり友達が居ないため、俺の連絡先を知っている人は限られる。

「陽愛からだ」

　連絡の相手は陽愛だった。

　ついさっきまで陽愛の家に行っていたから、もしかしたら忘れ物でもしたのかと陽愛からのメッセージを見る。

『今日の夜に通話しよ？』

　陽愛から送られてきた一行のメッセージ。その文字を何度も、何度も読む。

　まさかの陽愛から夜に通話をしようと誘われた。こんな嬉しいことはない。

　夜に恋人と通話とか本当に憧れる。

　それが今日の夜にできるかと思うと今から胸が騒ぐ。

　俺は勿論「良いよ」と返した。

　これ以上に早く夜が来てほしいと思ったのは初めてだ。早く陽愛の可愛い声が聞きたい。

　陽愛にメッセージを返すと直ぐに返信が来た。

『やった！　じゃあ夜の九時で良い？　ご飯とお風呂も全部済ませてからで』

　俺は壁に掛けられている時計で今の時刻を確認する。五時半過ぎ。九時までは後三時間以上ある。

　もっと早くから陽愛と通話したかったけれど、陽愛の言う通り夕飯や風呂を全て終えて後何もやることがない状態の方が陽愛との通話は長くできる。

　だから俺は「分かった、じゃあ九時から」と返信した。

　俺はスマホをベッドの上に置き、目を瞑る。

　今日の陽愛の可愛い笑顔が思い出される。

「可愛かったなぁ～」

　陽愛はいつも可愛い。それは誰もがそう思っているだろう。

　けれど今日の陽愛はいつもよりも可愛いと思った。

　久しぶりに行った陽愛の家は昔と変わらず女の子っぽい可愛らしい部屋で陽愛にピッタリな雰囲気だった。

　陽愛のお母さんも昔と変わっていない。

　なんか昔に戻ったみたいな感覚だ。

　また陽愛の家に行きたいな。

　そう思いながら俺はベッドから起き上がる。今から夕飯の準備をしなければならない。

「今日は簡単なもので良いか」

　そう呟きながらキッチンへと向かった。