第5話 自分のすべきこと
「なるほどね~。魔物退治には、魔物退治の専門の人がちゃんといるわけだ。」
「そうです。ですからあなたもその力を私利私欲のためでなく、人の役にたって、正当な報酬を受けて、立派な人間になってください。」
今までのような荒んだ生活ではなく、まっとうに。
「でも先生、その《守り人》ってのになったら今までみたいに自由に生活できなくなるわけでしょう?」
「まあ、そうなるでしょうね。」
守り人になれば任務が優先される。魔物はいつどんな時にどこから現れるのかまったくもってわからない。だから、いつ現れてもいいように常に気を張って万全の状態でいなくてはならない。そうなると、自由という自由は恐らくなくなるだろう。
「だったらおれは、今まで通り先生に稽古をつけてもらいながらのんびり暮らしていたいよ。」
「またそんなことを言って・・・」
「う~~ん・・・あっ、じゃあこういうのはどう?」
「ん?」
「先生も一緒に守り人になるんだよ!」
「私もですか?」
「そう!そうすれば先生と一緒だし、稽古も見てもらえるじゃん!」
「そうかもしれませんが、しかし、私は・・・」
「大丈夫だよ。先生強いし。少しぐらい歳とってても行けるって!」
「いや、私は別に年齢を気にしてるわけじゃ・・・」
その時だった。
爆音とともに隣の建物が一瞬にして消し飛んだ。人間の力では到底なしえない規格外の力によって。そして、今この状況になった理由はすぐに理解した。
魔物が現れたのだ。
土埃でその姿は見えていないが、一瞬にしてこの状況になる理由はそれしかない。
自分の思考がその考えにたどり着いたとき、視界がはっきりしてきた。
私の視界に入ってきたのは、瓦礫が降ってくる地点にヒロが倒れている姿だった。
そして・・・・・・・・
「「ヒロ‼」」
私は自分の思考が追いつくよりも先に体が動いていた。
まるで、体がすでに自分のすべきことを知っていたかのように。
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