第55話 としょしつ(ぜんぺん)

学校のとしょしつは


いりぐちにあるだいの上に大きなクマのぬいぐるみがおいてあって


オレたちは


そのぬいぐるみに さわったりだきついたりするのが 大すきだ。


おれたちより ずっと大きなクマのぬいぐるみ


かずくんは そのクマが大すきで


いつも ぎゅーってだきついたり クマの手をにぎって


あくしゅしたりしている。


みんながしていることだけど


じつはオレはそんな子どもっぽいことはしたことがない。



クマのとなりには べつのだいがおいてあって


そこには こん月のおすすめの本がおいてある。


もうすぐせつぶんだから


オニのほんがいっぱいだ。



オレは本をよむのは あんまりすきじゃないけど


きょうは先生がしゅっちょうでいなくて


かわりの先生がきていて


このじかんはどくしょのじかんになった。


べんきょうより ぜんぜんいいや。


かずくんとおーちゃんといっしょにいられるし。



「あ、これ ほいくえんのとき、先生がよんでくれたよね.。」


かずくんが本を手にとった。


「泣いた赤鬼」


「泣いた赤鬼」の本が なんさつもならんでいた。


みんな「泣いた赤鬼」だけど


えが ちがうんだ。


「どんなはなしだったっけ」


オレがきくと


「かわいそうなはなしだったよ」ってかずくんがいった。



「オレはこれにする。」


おーちゃんは「泣いた赤鬼」の一さつをえらんだ。


えのぐをこくぬったような はっきりしたおにのえのひょうしだった。


「じゃあオレもそうしよう。」


おれは「泣いた赤鬼」の


マンガみたいなおにがかいてある本をえらんだ。


「ぼくは・・・ちがう本にしよ。」


かずくんはそういって おすすめ本のコーナーの本をえらばないで


クマのあたまをポンポンってさわってから


としょしつの中にはいった。



としょしつのなかでは


ほかのともだちも本をえらんでいた。


先生が


「おおさわぎしないでえらんでくださーい。」って


けっこう大きなこえでいった。


オレとおーちゃんはかずくんが本をえらぶのについていった。


かずくんは


オレたちとちがって


えほんじゃなくて


字がいっぱいかいてある本のコーナーをみていた。


「一時間でよめるの?」


ってオレがきいたら


「よめなかったらかりていくからいいんだよ。」


っていって


「おしり探偵」のほんをえらんだ。



としょしつはふつうのテーブルやまるいテーブルがあって


たたみコーナーもある。


オレたちはたたみコーナーにいきたかったけど


もうなん人か行ってて いっぱいだったから


まるいテーブルにところで本をよむことにした。


まるテーブルは 


本だなが しきりみたいになっているスペースにあって


小さなへやのなかみたいだ。


ひとつのテーブルに女子がいたけど


となりのテーブルもそのとなりもだれもいなくて はなれていたから


オレたちだけのひみつきちみたいなかんじもした。



かずくんは ながいおはなしのほんをえらんだけど


オレとおーちゃんはえほんだから


すぐによみおわる。


そしたらなにしようかな。


小さなこえならおしゃべりしても大丈夫かな・・・。


はやくよみおわるように、オレはいそいでページをひらいた。

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