第54話 ねんがじょう(こうへん)
先生とじゅんくんのうちは わからないから
ゆうびんきょくのポストにいれて
ほかのともだちは いえのポストにとどけた。
まーくんのいえのポストに ねんがじょうをいれて
つぎは さとちゃんのいえまで はしった。
てんきがよくて
はしると 白い いきが口からでた。
つめたいくうきが きもちよかった。
ゆうびんやさんに なったきぶんだった。
さとちゃんのいえのポストは
ちょくせついえのなかに はがきをいれるタイプ。
カサッっと
はがきがおちるおとが げんかんのなかからきこえた。
そしたらすぐに
ガタンガタンと ちがうおとがきこえた。
ぼくはすごくおどろいて
きゃ・・・ってこえをだしちゃった。
ガタ・・・ガタ・・・ガチャ!
げんかんのドアがあいて
さとちゃんがいきおいよくでてきた。
「かずくん!」
きゅうにさとちゃんがでてきたから
ぼくはあわてた。
「あ・・・あけましておめでと・・・・えっと、いま、ねんがじょうを・・・。」
そしたら
さとちゃんがきゅうにぼくにだきついてきて
「ありがとう!!かずくんからねんがじょうがこなくて、まってたんだよ。」っていった。
ぼくはなにがなんだかよくわからなかったけど
さとちゃんがうれしそうなことだけはわかった。
げんかんから さとちゃんのおかあさんが でてきて、
「あら、ちょくせつもってきてくれたの。ありがとう。」
っていった。
そしてさとちゃんが
ぼくからのねんがじょうがなくて、
げんかんでおとがするたびに
ねんがじょうがとどいたのかとたしかめていたということをきいた。
「きょうはもうはいたつはないっていってたのに まさかちょくせつもってきてくれるなんて、よかったね。」って
おかあさんがさとちゃんにいった。
せっかくきたからって
ちょっとだけ さとちゃんのうちにはいって おやつをもらった。
おしょうがつは
なんだかいつもと ちがうきがして きんちょうした。
さとちゃんが
「かずくんからのねんがじょうがなくて、さみしかった」っていった。
さとちゃんもぼくとおんなじきもちだったのか。
「ぼくも さとちゃんのねんがじょうがなくて さみしかった。」
っていったら
「オレは、もらったひとにへんじをだすことにしてるんだ。」
っていった。
え、そうなの、さとちゃん。
よかった。
ぼくにねんがじょうが とどかなかったのは
さとちゃんに なにかあったからとか
ぼくにだけ だしてなかったとかじゃなくて
ぼくがだしてないからだったんだね。
でも
よくかんがえたら
りょうほうが
もらったひとにへんじをかくタイプだったら
おたがいねんがじょうのがとどかないじゃん。
やっぱりちゃんと
1月1日にとどくように出したほうがいいんじゃない・・・。
ぼくがそういうとさとちゃんは
「そういうもんかな」ってなんだか おとなっぽいかおで いった。
さとちゃんは
ぼくのねんがじょうのミッキーをみて
「・・・・40てん!」
っててんすうをつけた。
ひくいてんすうを つけられたけど
なんだか さいてんされたことがおかしくて わらったら
「でも、いえまでとどけてくれて、うれしかったから
プラス10000てん!」
って、さとちゃんもわらっていった。
さとちゃんがよろこんでくれて
ぼくもうれしかった。
4日ご
ぼくにさとちゃんからねんがじょうがとどいた。
すごくていねいな
ピートかミッキーかわからないようなミッキーがかいてあった。
さとちゃんからねんがじょうがとどいて
うれしくてしあわせなきぶんになった。
ぼくのねんがじょうがなくて さみしかったといったさとちゃん。
さとちゃんは もらったねんがじょうにへんじをだすって
いったてたから
さとちゃんからのねんがじょうが
がんたんに とどかなくても しんぱいなくていいことがわかったし
ねんがじょうがとどけば
かならずへんじをくれるってこともわかった。
ぼくはこれからまいとし
なにがあっても
がんたんに ねんがじょうがとどくようにしようとおもった。
さとちゃんがさみしいおもいをしないように。
そして
さとちゃんから
へんじのねんがじょうがもらえるように。
ぼくは
さとちゃんからのねんがじょうを
ほかのねんがじょうの
いちばんうえにそっとかさねて
つくえのひきだしにだいじにしまった。
おわり
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