第40話 すんだくうき(おんがくはっぴようかい)

はっぴょうかいのほんばんは


とてもきんちょうした。


体いくかんのまえのほうに ぼくたちがすわって


うしろが いえの人たちの ばしょ になっていたけど


すごく大ぜいの人がきていて びっくりした。


このまえの よこうれんしゅうのとき


オレが大だいこを しっぱいしたせいで


大さわぎになったから もうしっぱいはできないし


なにより 


こんなに大ぜいの人のまえで まちがえたらはずかしい。


一年生は いちばんはじめのはっぴょうなので


もう きょうしつで ずこうでつくった かみのいしょうをきてから


たいいくかんにいく。


おーちゃんが


いえから キラキラひかるシールを もってきて


しっぱいしない おまじないだといって


オレのいしょうに はってくれた。


かずくんも オレのところにきて


「ほら、ぼくも。」ってじぶんのいしょうのむねあたりをゆびさした。


「3にんでおそろいだ。」


おーちゃんのいしょうにも おんなじシールがはってあった。



オレはうれしくなって すこしあんしんした。


そしたらかずくんが


きゅうに オレの手をもちあげて


オレの人さしゆびを ギュってにぎった。


このまえ ずこうで オレがゆびをきったときを おもいだして


ちょっと どきっとした。


「ぼくは きんちょうしないおまじないを してあげるね。」


っていって


「こ れ さ え や っ と きゃ だ い じょ う ぶ」


っていいながら オレのゆびをにぎった手を 


にぎったりひらいたりした。


「こうすると、きんちょうがとれるって おかあさんがいってた。」


かずくんが ぼくをみてにっこりした。


かずくんの 小さくて やわらかい あかちゃんみたいな手が


なんだかちからづよくて たよりになった。


「オレもやって。」っておーちゃんがいった。


「さとちゃん、きんちょうしてないでしょ。」っていいながら


かずくんは おーちゃんのゆびもにぎって


「こ れ さ え や っ と きゃ だ い じょ う ぶ」 を


やてあげた。それをみて


あれ?


「これ、じぶんで できるんじゃね?」ってオレはきづいた。


「あ、そうだね。ひとりでできる。」


かずくんは そういったあと またにっこりわらって


「でも、だれかにやってもらったほうが、


きんちょうしないきがする。」っていった。



「じゃあつぎは オレがかずくんにやってあげる」っておーちゃんがかずくんのゆびを にぎったから オレもあわてて


「オレも!」ってかずくんの もうかたほうの手をとって


人さしゆびをにぎった。


オレとおーちゃんは かおをみあわせ こえをそろえて


「こ れ さ え や っ と きゃ だ い じょ う ぶ」


っていって かずくんのひとさしゆびを にぎったりひらいたりした。


そして3人でわらった。



きょうはしっぱいしないでやれるきがした。



げきをして


うたをうたって


がっそうをする。



やっぱりちょっと きんちょうしたけど


きょうはまちがえないで さいごまでできた。


小だいこのまちこちゃんが オレをみて かた手をあげたから


まちこちゃんとハイタッチした。


オレはすごくうれしかった。


ステージからおりたら


おーちゃんがきて やっぱりオレにハイタッチした。


かずくんもきて やっぱりハイタッチした。


そして


「まーくん、やったね!」ってうれしそうにいった。



大だいこは たいへんだったけど


かずくんが


いっしょに れんしゅうしてくれたり


オレのために ケンカしてくれたり


きんちょうしないおまじないを してくれたから


オレは 大だいこが じょうずにできたんだとおもう。


だから


「かずくん、ありがとう。」っていった。



かずくんがにっこりわらった。


おーちゃんもわらった。



オレは かずくんとおーちゃんがいれば


なんだってできるきがする。


だから3人でいると たのしいんだな。


たいせつなオレのともだち。



上きゅう生のはっぴょうをみながら


オレは かずくんとおーちゃんとともだちで


ほんとうによかったとおもった。

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