第38話 すんだくうき(おんがく こうへん)

なんかいも 大だいこのれんしゅうをしたけど


オレは どうしても まちがえてしまう。


はじめは できるんだけど


とちゅうで ちょっとおかしくなるんだ。


きょうはひるやすみに


大だいこの れんしゅうをするといって 先生によばれた。



「大だいこは がっそうのリズムをとる たいせつながっきだから。


あいばくん、できてるんだけど、一回まちがえると、たてなおせないから・・・。」


先生が ていねいに おしえてくれるけど


オレは せっかくのひるやすみまで れんしゅうなんて


さいこうに つまらなかった。


おまけに どうしても まちがえてしまって


一回まちがえると どうしてか つぎからへんになっちゃう。


かずくんとおーちゃんは きっとたのしくあそんでるんだろう・・・。


そうおもうと


なんだか なきたくなってきた。



「あいばくん、もうすこし とっくんしよう。」


先生は


うまくなるまで まい日ひる休みに れんしゅうしようという。


なんで、まちがっちゃうんだろう。


うまくなりたいのに うまくできなくて くやしいし


かずくんやおーちゃんと ひるやすみに ずっとあそべないのも


なんだかかなしくて


どうして 大だいこに 手をあげたのか すごくこうかいした。



かえりみち かずくんが


オレがまい日 ひる休みに 大だいこのれんしゅうでいないから つまらない・・・といった。そして


「きょう、うちで大だいこの れんしゅうしない?」


ってオレをさそった。


オレは 学校でもれんしゅうして


これからまた れんしゅうなんて いやだったけど


「まーくんが はやくできるようになって ひる休みに いっしょに あそびたい。」ってかずくんがいうし


かずくんといっしょだったら、れんしゅうも たのしいかもとおもって


オーケーした。


「でも、かずくんち 大だいこなんて ないでしょ?」ってきくと


「かべをたたけばいいんだよ」ってにっこりわらっていった。



かずくんは


へやのドアをあけた。


かべが まんなかにくるように オレはへやとろうかとの さかいのちょうどまんなかに たった。


「これでたたこう。」


かずくんが じょうぎのさきにトイレットペーパーをまいてくっつけて


バチをつくった。


かずくんは 手びょうしをうちながら きょくをうたってくれた。


すごい!先生みたい。


でも先生とちがうのは


オレがまちがえても うたや手びょうしが とまらないところ。


かずくんがやめないから オレもやめるわけにはいかず


あってるかどうか わからないけど さいごまでたたいた。



すこしれんしゅうしたら


「うちにくいよね。」


っていって こんどは おねえさんのリカちゃん人ぎょうのかおに ペーパーをまきつけたものをつくった。


リカちゃんの足がもちやすくて よかったけど


おねえさんの人ぎょうだから


みつかったら おこられるとおもって ひやひやした。



かずくんが こんどはへびのぬいぐるみをもってきた。


「これでやってみよう」


へびのぬいぐるみは ふにゃふにゃしてて


たいこのバチには ならないけど


これでたたくのも おもしろかった。


「これも おねえさんのじゃないの?」ってきくと


「これはぼくの。ずっとまえに どうぶつえんいったときにかった。」


それなら あんしんだ。



「これはどう。」


こんどは おかしのかんのふたを もってきた。


がーーんと すごく大きなおとが したけど


オレは たのしくて うちつづけたら


おねえさんが「うるさい!」っていってやってきた。


そしてペーパーのまかれたリカちゃんをみて


「かず~~!!!」っておこった。


「にげろ~」っていって


かずくんがにげまわって


オレは どうしていいかわからなくて オロオロした。


「まーくん、いくよ!」


そういって かずくんが げんかんにむかったから


オレもいっしょにいって 二人でそとににげた。



かずくんが オレんちまで おくってくれるといったから


ふたりでならんであるいた。


「まーくん、すごくじょうずじゃん。」


「大だいこ、かっこいいよね。」


「オレも大だいこにすればよかったな~。」


「まーくん、れんしゅうがんばってね。」


「まーくんならできるよ」


「まーくんは、ほんばんに すごくつよいし。」


かずくんが いっぱい はげましてくれて


なんだか じしんがわいてきた。


大だいこ がんばろう・・・。


そうおもった。


「あー、ぼく 小だいこにすれば よかったんだ!」


かずくんが おもいついたように いった。


「そうすれば おんがくのじかん いつもまーくんと いっしょに 


れんしゅうできるしね。」


「あ、でも、そうなると、さとちゃんが ひとりになっちゃうから、  小だいこ ぼくとさとちゃんと ふたりでたたけないかな・・・。」


ぶつぶつとかずくんがいう。



「かずくん、オレ 大だいこがんばるよ。」


オレは とてもうれしいきぶんで そういった。


かずくんは


「うん!」ってわらっていったあと、


「ぼくもがんばってねえちゃんにあやまる!」っていって


またわらった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る