第35話 あきかぜ

さとちゃんが!


いつもぼくといっしょに


さいごのほうではしっているさとちゃんが


きょうは


こんなにはやくはしっている!


男子のかたまりのなかから


じゅんくんがすこしぬけだして


さとちゃんも


じゅんくんについていってる


じゅんくんをこそうとしてる。


じゅんくんがひっしにはしって


さとちゃんがひっしにはしる。


すなぼこりの中だけど


ふたりのくるしそうなかおがここからでもわかった。



まーくんがゴールして


そのあと


じゅんくんとさとちゃんがほとんどどうじにゴールしたようにみえた。


さとちゃんはゴールしてそのままたおれこむ。


つぎつぎみんながゴールするけど


さとちゃんがおきあがらなくて


ゴールふきんがざわざわした。



さとちゃん!


ぼくはゴールにいこうとたちあがった。


いっしょにいたほけんの先生もたちあがってぼくに


「ここでまってて。」っていったけど


ぼくはそにまま先生についてゴールまでいった。



さとちゃんはゴールからすこしはなれたところで


あおむけにねていた。


そばにふたり先生がいてほけんの先生ががそこにくわわった。


まーくんもじゅんくんもしゅんすけも


みんなしんぱいそうにみているから


ぼくはまーくんのとなりにいって


「さとちゃん、どうしたの?」ってきいた。


かおいろがわるくてはあはあいきをしている・・・。


「ちょっときをうしなった。でももういしきもどったって。はなしもしてたよ。じゅんくんにかったかどうかきいてた。」


さとちゃん・・・だいじょうぶ?


ぼくはすごくしんぱいした。



すこしして


先生たちにかこまれていたさとちゃんはからだをおこした。


先生がせなかをささえてそのままたちあがった。


よかった。


ぼくはあんしんした。



あんしんしたから


ぼくはまーくんにおめでとうをいうことができた。


「1いだったね、すごいね、まーくん、おめでとう。」


それから


「2いはだれだった?」ってきいた。


「2いは、さとちゃんだよ!すごいよ!ふだんはおそいじゃん!きょうはすごいよ!」


まーくんがすごくうれしそうにはなした。



さとちゃんが


ぼくたちのほうへきた。


「さとちゃん、だいじょうぶ?」ってきくと


ぼくのほうをむいて


「おれ、じゅんくんにかったよ!」っていった。


そして


「おれ、じゅんくんにはどうしてもまけたくなかった・・・」って


にっこりわらった。





どうして?


さとちゃん・・・。


どうして?


どうしてじゅんくんにまけたくなかったのかきかせて?



それは



もしかして



ぼくとじゅんくんがキスしたから・・・?



それとも


なにか


りゆうがあるの・・・?



きいていいのかどうかまよっていたら


まーくんが


「かずくんはなんいだった?」


きいたから


「・・・・ぼく、はしってないんだ・・・。」っていった。


「ええっ!」


まーくんもさとちゃんもおどろいたかおをした。


ふたりとも ぼくもはしっていたとおもっていたみたい。



「ねつがあるみたいなのよ」


ほけんの先生がぼくたちのところにきた。


「にしのくん、ほけんしつにいくよ。」


「だいじょうぶ、かずくん?」


ってふたりがしんぱいしてくれたから


「だいじょうぶだよ。」っていった。そして


「まーくん、1いおめでとう、さとちゃん2いおめでとう。」ってふたりにいった。


「おがたくんは、ひょうしょうしきでれるよね。」ってせんせいがいって


さとちゃんがおおきく「はい」ってへんじをした。



まーくん、1いでかっこよかった。


さとちゃん、2いすごいね。


さとちゃんはほんとうははしるとはやいんだよね。



じゅんくんにはまけたくなかった・・・・


そういって


ほんとうにじゅんくんにかつさとちゃんがかっこよかったし



なんだかぼくがうれしかった。



ぼくは


さとちゃんとキスしたときのことをおもいだす。


なんてことなかったキス・・・。


だけど


ぼくはすこしうれしくて


あの日よりだんだんと


いまのほうが


うれしくなってるようなきがする。




ほけんの先生といっしょにあるいていると。


かぜがヒュー・・・ってふいた。


「さむくない?」って先生がきいた。


「さむくないです。」ってぼくはこたえた。



ふいたかぜは


ぼくのきもちのようによろこんでいるようにかんじた。


まーくんとさとちゃんのじゅんいをいわうように


ヒューっとはりきって ふいた。



ぼくもらいねんは


ふたりといっしょにはしれるように


がんばらなくちゃ・・・。

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